3-第3回 悪臭の対策技術(脱臭装置に頼らない対策 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・2-2 においを希釈して薄める(空気希釈法、換気法)
悪臭対策の次の手段は、においを希釈して薄め、においを感じ始める濃度以下にしてしまう、すなわち専門的には閾値濃度以下にすることである。

どんなにおい物質でもどんどん空気で薄め、嗅覚閾値以下の濃度にすれば、におわなくなる。

多くの工場にあり、誰もが知っているあの「煙突(排気口)」は、この希釈効果を狙ったものである。

高い煙突から排出された悪臭は大気中で空気に希釈され、拡散して、地上に落ちる頃には薄まり、においを感じなくなるか、あるいはかなり低減する。
煙突(排気口)の高さは高ければ高いほど、悪臭が希釈される効果は高い。更に悪臭の温度が高いほど、また煙突から飛び出る吐出速度が大きいほど、悪臭の希釈効果は大きい。
清掃工場など大きな施設においては、煙突の高さは 100m 程度に及ぶが、小さな町工場でも、図-2に示したように、排出口の高さを近隣の住居の高さ以上に高くすることが最低限必要である。

臭気を発生させている工場においては、煙突を高くすると、近隣から目立ってしまい、高く上げたがらない事業者もいるが、近隣の人々にしっかり説明し、理解を得る必要がある。
稀なケースではあるが、事業者によっては、周囲に悪臭被害を出さないために、排気口を作らずに密閉した作業環境で事業を行っているケースもある。

このような作業は事業所の従業員に多大な被害を及ぼすだけでなく、ドアなどの出入口や窓などから臭気が漏れ、かえって、近隣に悪臭被害を及ぼすことになり、最も不適当な対策である。悪臭被害は近隣の住民に被害を及ぼす前に必ず作業員に被害が発生する。

私の長い経験からは、作業環境のにおいが少なく、きちんと管理されている事業所は、周辺環境への悪臭の影響が少ないとみてよい。

現在、日本の各工業会においては、作業環境の改善を目標に努力している団体も多くなってきている。
有害ガス対策と異なり、悪臭対策としては煙突(排出口)を高くする対策は、非常に有効である。脱臭装置の導入と比較して、日常のメンテナンスがほとんどいらず、ランニングコストもはとんどかからないことから、特に中小の事業所における悪臭対策として有効な方法である。
一般家庭の室内のにおい対策でも同じである。室内の場合は工場とは異なり、煙突を高くする方法ではなく、「換気」が重要になる。

換気を良くし、空気を入れ換えることにより、臭気対策を検討することも非常に重要である。

室内に付着した臭気が問題になる場合は、まず換気を良くすることを検討すべきである。

それだけで自然に臭気が低減することが期待できる。ほとんど経費の掛からない対策であるが、効果は大きい。