2-第3回 悪臭の対策技術(脱臭装置に頼らない対策 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・2 脱臭装置に頼らない具体的事例
2-1 悪臭の元を断て
悪臭対策の中で最も基本的で、かつ重要な対策は、悪臭の元となる原因物質の発生を抑えることである。

すなわち、「悪臭対策の基本は元を断つ」ということである。

「悪臭は発生したものを取り除くのではなく、悪臭の発生量を抑制することが基本である。」
ということである。確かに元を断つという対策は難しいが、この対策は最も効果的な対策であり、まず悪臭対策を検討するときには、最初に検討すべき手段である。
悪臭の元を絶つという対策には、もちろん悪臭を発生するものを取り除いてしまうという対策もあるが、悪臭を発生する原因物質を他の悪臭の少ないものに切り換える対策も含まれる。

更にこの対策の中には悪臭を発生しているものに蓋をするなど、悪臭の発生を抑える方法も含まれるのである。

悪臭は発生させたものを取り除くのは、技術的にも経済的にも難しくなるケースが多い。
ドライクリーニングを例にして説明したい。

街中にも多く存在する多くのドライクリーニング店においては、溶剤として石油系の灯油に近いもの(ミネラルスピリッツ、ターペンとも呼ばれる)を用いているが、この溶剤は当然においが強く、近隣に悪臭被害を及ぼす場合もある。

この溶剤の悪臭対策として、近年においの強いミネラルスピリッツに替えて、においが比較的少ないパラフィン系の溶剤が一部で使われている。

パラフィン系の溶剤は、従来のミネラルスピリッツと比較して、コストは多少高いが、比較的においが少なく、作業環境もよくなることから悪臭対策を検討している一部のクリーニング 店 で使われている。
塗装工場においても、この考え方に基づいて対策が進められている。

油性の塗料と比較して比較的においの少ない水溶性の塗料が近年多く使われようになってきた。
このように、悪臭対策を考える場合、においの強 い 原材料をにおいの少ない 原材料に替えることをまず検討すべきである。
この対策は、印刷工場においても同様である。
シンナー系の油性インキから水性インキ に切 り換えること が臭気対策として有効 になるケースも多い。

ただし、塗料やインキをにおいの少ないものに切り換える対策は、製品の品質に影響する場合もあり、転換に当たっては十分検討する必要がある。
「元から絶て」という対策は、一般家庭においてもみることができる。

トイレの悪臭は代表的な悪臭問題であり、多くの人の悩みであったが、近年は水洗化され、昔ほどの大問題ではなくなった。

この対策も、糞尿を家屋内にとどめて汲み取りによって処理するのではなく、下水道を通して、家屋内から即時排出し、悪臭の元を取り除く対策の一つである。

また、室内において何かカビ臭いにおいがしているときには、室内に消臭剤を噴霧し悪臭対策をする方法もあるが、基本的にはカビを除去し、カビが発生しないように空気の流れや湿度の管理をしっかりすることの方が重要であるということである。
このように悪臭対策を考える場合、まず、においの元となるものを取り除くことが基本であるということを頭に入れておいて欲しい。
写真2は、今では印刷工場、塗装工場など溶剤を扱う工場では当たり前のことであるが、溶剤の染みたウェスを入れる容器には必ず蓋を付けることが重要である。

また、図-1に示すように溶剤容器も必ず蓋つき容器にすべきである。

この対策だけで作業環境は良くなり、悪臭の発生量は抑制される。
印刷工場ではインキの水性化の検討だけでなく、近年では関係する機械の悪臭発生個所に、ビニールシートでカバーし、溶剤の揮散を抑制している対策もみられるようになってきた(写真3)。
これらの対策はほとんど経費も掛からず、溶剤の消費量も低減できることから工場にとっても有効な方法になる。

 

runより:画像、表は全て省略します。