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野焼きは違法?
[投稿日] 2015年04月22日 [最終更新日] 2016年10月28日
野焼きは違法?
4月18日正午頃、長野県において、団体職員の男性が自分の畑で枯れ枝などを焼く、いわゆる野焼きをしていたところ、火が下草に燃え移り、焼け跡から男児の遺体が見つかりました。
警察署の発表では、男性は同日午前から長男を乗せて軽トラックで畑に来て、枯れ枝を焼く作業をしていたとのことです。同署は、長男が火事に巻き込まれたとみて確認を進めています。
野焼きとは、野外・野山で植生を焼き払うことをいいます。
また、ゴミを屋外で焼却することも野焼きと呼ぶことがあります。
これらの野焼きには様々な法規制がありますので、今回は、野焼きをめぐる法規制について見てみたいと思います。
ゴミを屋外で焼却する野焼きですが、ゴミの処理については、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃掃法」といいます。)が規律しており、原則として廃棄物の焼却を禁止しています(法16条の2)。
違反した場合には、5年以下の懲役若しくは1,000万円(法人は3億円)以下の罰金、またはその両方に処せられる、という重い罰則が定められています(法25条第15号等)。
ただし、基準に従って行う廃棄物の焼却、他の法令等に基づいて行われる焼却、公益上や社会慣例上やむを得ない廃棄物の焼却又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微である廃棄物の焼却として政令で定めるもの、が例外的に認められています。
政令で例外として定められて行為としては、農業者が行う稲わら等の焼却のような「農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われるもの(廃掃法施行令14条4号)」、たき火やキャンプファイアーなどを行う際の木くずの焼却のような「たき火その他日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であつて軽微なもの(廃掃法施行令14条5号)。」等があります
もっとも、農林業を営む上でやむを得ないものとして認められたとしても、森林の周辺で行う場合、この野焼き(「火入れ」と呼ばれます。)は、森林法において市町村長の許可を受けることが求められています(森林法21条)。
また、日常生活を営む上で通常行われる廃棄物の焼却であつて軽微なものに該当する場合でも、多くの自治体では、臭いや煙等について近隣から苦情があった場合には指導の対象とすると定めていることが多いため、自宅で落ち葉焚きをする場合であっても、注意が必要です。
野焼きが問題となった裁判としては、2013年に自宅近くの空き地で丸太や枝等合計約500キロを燃やしたとして廃掃法処理違反の罪に問われた男性のケースがあります。
男性は事前に消防署に野焼きの連絡をしていましたが、判決において、消防署は屋外焼却を管理する官庁ではなく、法に反したことには変わらないとして、男性に廃棄物処理法違反として罰金50万円の支払いを命じています。