・9.3 「住宅地等における農薬使用について」の再周知・指導の徹底について
平成 29 年 10 月 25 日付け 29 消安第 3974 号環水大土発第 1710251 号
各都道府県農薬指導主管部長及び各都道府県環境担当部長宛
農林水産省消費・安全局農産安全管理課長及び環境省水・大気環境局土壌環境課農薬環境管理室長通知学校、保育所、病院、公園等の公共施設内の植物、街路樹並びに住宅地に近接する農地及び
森林等における農薬使用については、これまで、「住宅地等における農薬使用について」(平成 25年4月 26 日付け 25 消安第 175 号・環水大土発第 1304261 号農林水産省消費・安全局長、環境省水・大気環境局長通知。以下「住宅地通知」という。)により、農薬を使用する者が遵守すべき事項を示し、関係者への指導をお願いしてきたところである。
しかしながら、今般、公立小学校において児童が授業を受けている時間帯に、敷地内樹木の害
虫駆除を目的として農薬が散布され、それにより、6名の児童が体調不良を訴え、病院に搬送される事案が発生した。
本事案は、教育委員会が防除業者に作業を委託したものであり、担当者からの聞き取りによれ
ば、以下の原因により発生したとのことである(別添)。
・ 農薬散布を児童が在学し授業を受けている日・時間帯に実施したこと。
・ 小学校の施設管理者と防除業者間、小学校内の職員間で、散布当日の作業スケジュールや安全確保対策等の詳細な情報共有が不十分であったこと。
・ 教育委員会、小学校の施設管理者及び農薬散布を委託された防除業者のいずれも、住宅地通知の周知・徹底を目的とした研修に参加しておらず、住宅地通知の内容を十分理解していなかったこと。
このようなことから、今後、同様の事案が再発することがないよう、貴職より、地方公共団体の施
設管理部局の担当者を含む、農薬使用者、農薬使用委託者、病害虫防除等の責任者、農薬の散布を行う土地・施設等の管理者に対し、住宅地通知を再周知して頂くとともに、特に、以下の事項について指導の徹底をお願いする。
・ 農薬散布にあたっては、万が一にも子どもが農薬を浴びることがないよう、学校敷地への散布は、児童が在学し授業を受けている日・時間帯に実施しないなど、散布日・時間帯に最大限配慮すること。
・ 農薬散布の情報は、周辺住民に対して事前に周知するとともに、施設管理者とその他職員、施設管理者と委託された防除業者間で連携し、散布当日の作業スケジュールや安全確保対策等の詳細な情報を共有すること。
・ 住宅地通知の周知・徹底を目的とした研修に定期的に参加するとともに、農薬の散布を委託した場合は、委託された防除業者等に住宅地通知を徹底させること。
別添
小学校における農薬散布による被害事案について
1.被害事案の概要
散布対象: 小学校の敷地内にある樹木
農 薬: 有機リン系殺虫剤、展着剤
被 害: 児童が授業を受けている時間帯に農薬散布が行われ、体育館で授業に出席していた児童6名が、咳や気持ちが悪いなど体調不良を訴えた。
2. 被害害発生までの経緯
農薬散布の情報は、農薬散布の1週間前の職員打ち合わせで、実施日時が共有された。
その際、当日の午前中は外に出ないこと、午後も樹木や葉に触れないよう児童に指導するよう
各職員に指示が行われた。
職員室内にも散布日時が掲示され、事前周知はされていたが、保護者及び周辺住民に対し
ては、事前周知はされていなかった。
農薬散布当日、学校側は散布前に校内放送で窓を閉めるように連絡、教員が校舎、体育館
を巡回して目視で、窓が閉まっていることを確認した。
防除業者は、校舎側の樹木の散布が終了したことを学校側に伝え、学校側は、その報告を受
けて窓を開けて良いとの校内放送を行った。
その後、防除業者は、体育館周辺での散布を行ったところ、体育館で授業をしていた教員が
放送を聞き、窓を開けて授業を実施していたため、体育館に農薬が入り込み、それを吸い込んだ児童が被害を受けた。(体育館で授業をしていた教員は、体育館の周囲で農薬が散布さ
れることを知らなかった)
3.被害が発生してしまった原因
農薬散布を児童が在学し授業を受けている日・時間帯に実施したこと。
小学校の施設管理者と防除業者間、小学校内の職員間で、散布当日の作業スケジュール
や安全確保対策等の詳細な情報の共有が不十分であったこと。
教育委員会、小学校の施設管理者及び農薬散布を委託された防除業者のいずれも、住宅地通知の周知・徹底を目的とした研修に参加しておらず、住宅地通知の内容を十分理解 していなかったこと。
4.県が実施した指導の状況
市 : 小学校における農薬散布業務については、業務を業者に委託する場合であっても、業務委託者である市、小学校も農薬使用に関する責任を有していることから、関連する全ての者が、住宅地通知の内容に沿った対応をとり、農薬使用の必要性を十分検討の上で適切に実施し、万が一にも児童に健康被害を生じさせないよう指導した。
また、県が開催する農薬適正使用アドバイザー認定及び更新研修会等へ参加するよう指導した。
防除業者: 住宅地通知を再周知し、農薬を使用する際は危害防止に最大限配慮することを指導
するとともに、県が開催する農薬適正使用アドバイザー認定及び更新研修会に出席するよう指導した。