23:「農薬中毒の症状と治療法」について(ラウンドアップに解毒剤は無い) | 化学物質過敏症 runのブログ

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・28.ジクワット剤・パラコート剤(除草剤,別表28参照)
農薬名 パラコート(グラモキソン,パラゼット)
ジクワット・パラコート(プリグロックスL,マイゼット)
症 状
活性酸素によるミクロソームの過酸化,特に肺での SOD 阻害
• Stage Ⅰ(経口直後~2日以内):激しい嘔吐,舌・口腔内・咽喉頭・消化管の直接的な粘
膜障害,食道穿孔,大量服用時(200㎖以上)はショックで死亡
• Stage Ⅱ(経口2~3日):急性肝不全,進行性の糸球体腎炎,尿細管壊死による急性腎不
全,肺水腫
• Stage Ⅲ(経口3~10日):間質性肺炎,進行性の肺線維症
特記事項
1週間以内に発症する肝・腎障害は可逆的,肺障害は不可逆的
治療法
Ⅰ章【2】項 農薬中毒の治療(P3~P5)に記した処置のうえに,経口の場合,発症の有
無にかかわらず次の処置を行う
基本的処置:以下の処置を尿中パラコート定性(-)まで継続
◦胃洗浄:服毒後1時間以内でなければ効果は乏しい
◦吸着:活性炭 , 入手できない場合は天然ケイ酸アルミニウム(アドソルビン)あるいはベン
トナイト(いずれも1~2g/㎏)の飲用,または胃内注入
◦下剤(ソルビトール,マグコロール,硫酸マグネシウム)[吸着剤,下剤投与を交互に反復]:
できるだけ早期に活性炭と下剤を投与する(活性炭の排除を促すために下剤が投与される)
◦血液吸着:当日は,吸着筒1本につき4~5時間の DHP を2回連続して行う。その後は,
CAVH(continuous arteriovenous hemofiltration)または1日4~5時間の DHP を尿中パ
ラコート定性反応が陰性化するまで続ける
呼吸管理:
◦酸素吸入は中毒の初期症状を悪化させるので,酸素吸入は止むを得ぬ場合に限って行う。
酸素吸入を行う場合は,PaO2 50~60 mmHg を上限として吸入酸素濃度を決める
農薬名 ジクワット(レグロックス)
症 状
パラコート中毒と異なり,毛細血管が壊死に陥り出血(脳幹部で発生)しやすい。肺線維症は
発症しない。麻痺性イレウスとともに腸管内に多量の体液が貯留し,hypovolemia になりや
すい
•中枢神経系症状:意識障害,けいれん,脳血管障害(とくに脳幹部)
•循環器系症状:不整脈,血圧低下,ショック
•呼吸器系症状:呼吸困難,肺水腫,肺出血
•消化器系症状:嘔吐,舌・口腔・消化管粘膜の炎症・びらん・潰瘍形成,上部消化管穿孔,
腹痛,下痢,麻痺性イレウス,腸管内液体貯留,黄疸,肝機能障害
•泌尿器系症状:腎機能障害,尿細管壊死,急性腎不全
治療法
Ⅰ章【2】項 農薬中毒の治療(P3~P5)に記した処置
処置は,パラコート中毒の場合と基本的に同じ
経口の場合,発症の有無にかかわらず次の処置
基本的処置:消化管からの除去
◦洗浄液が透明になるまで胃洗浄
◦活性炭1g/㎏をマグコロール500 ㎖に混ぜ,1~2時間ごとに50~100 ㎖を胃管より注
入する(吸着剤を混ぜて下痢を起こさせる)。吸着剤として活性炭以外に天然ケイ酸アルミ
ニウム(アドソルビン)やケイキサレート(低カリウム血症に注意)を用いてもよい
◦尿中ジクワットが定性(-)になった後も,更に1日続ける
◦麻痺性イレウスと腸管内液体貯留が起こりやすいので,上記の方法で下痢が起こらないと
きには注意が必要
血液浄化法:
◦できるだけ早期から血液吸着を開始する。1本の吸着器で4~6時間行い,初回は10時間
以上連続して施行。その後は尿中ジクワットが定性(-)になるまで連日施行し,定性(-)
になった翌日にもう一度行う
◦乏尿性腎不全例では,血液透析と血液吸着を併用
◦脳出血を合併しやすいので,血液浄化法施行時のヘパリン投与量は必要最小限にとどめる
薬物療法:
◦ビタミンC,ビタミンE,還元型グルタチオンなどが活性酸素を無毒化して細胞障害を抑
えるために使用されるが,効果はあまり期待できない