2:「農薬中毒の症状と治療法」について(ラウンドアップに解毒剤は無い) | 化学物質過敏症 runのブログ

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・【1】農薬中毒の診療に際して
1.問   診
 治療方針を確立するために,次の点を速やかに聞きとって下さい。
1)事故発生の状況
⑴ 飲み込んだのか,吸ったのか,付着したのか?
⑵ 誤飲・誤用か(農薬と知らずに飲んだり,皮膚にかかったなど),あるいは意図的(自・他殺目的など)か?
⑶ どのような作業中か?(散布液調製中,散布中など)場所は?(施設内か否か)
⑷ 保護具(農薬用(防護)マスク,保護メガネ,防除衣など)の着用は?
2)農薬の種類,剤型,濃度および摂取量
⑴ 農薬の種類は?(使用した農薬の瓶や袋のラベルを確認して下さい)
⑵ 農薬の剤型は?(乳剤,水和剤,液剤,フロアブル剤,粉剤,粒剤など)
⑶ 濃度,希釈倍数は?(通常500~2,000倍に希釈)
⑷ 摂取量は?(経口的に摂取した時)
⑸ 散布中の中毒の場合,散布量と散布時間は?
3)中毒症状発現まで
⑴ 曝露から症状がでるまでの時間は?
Ⅰ.農薬中毒の救急治療の手順とポイント
⑵ 経口摂取のときは,その時刻と中毒症状発現までの経過時間,嘔吐したか?
2.中毒症状の観察
 農薬中毒では,農薬分類系統ごとに特徴のある徴候・症状が現れるので,よく観察することが大切です。

農薬には神経系に対する障害作用を示すものもあり,特に,神経学的な面からの観察が重要です。
1)意識障害;中毒の重症度を判定するために必要です。
2)筋線維性れん縮およびその他のけいれん;筋線維性れん縮は有機りん剤およびカーバメート剤中毒に,てんかん様のけいれん発作は有機塩素剤および有機ふっ素剤による中毒によくみられます。
3)呼吸抑制;有機りん剤およびカーバメート剤中毒では,呼吸抑制,突然の呼吸停止を生ずることがあります。
4)末梢神経麻痺;重症の有機りん剤中毒で,知覚や運動の末梢神経麻痺が持続することがまれにあります。
5)唾液分泌過多,発汗;副交感神経興奮症状は,有機りん剤,カーバメート剤および硫酸ニコチン剤の中毒の場合にみられます。

また著しい多汗だけが観察されるのは,クロルフェナピル剤やニトロフェノール剤,ペンタクロロフェノール剤などによる中毒の特徴です。
6)不整脈;モノフルオル酢酸ナトリウム塩のような有機ふっ素剤による中毒の場合によくおこります。
7)眼症状;著明な縮瞳があれば,有機りん剤かカーバメート剤による中毒の可能性があります。
有機塩素剤などによるものでは散瞳気味となります。

局所刺激症状では,クロルピクリン剤やブラストサイジン剤などが眼に入って眼痛,流涙,眼粘膜の炎症をおこすことがあります。

また,臭化メチル剤では,複視,視野狭さくをおこすことがあります。
8)咳,喀痰;刺激性物質の吸入によっておこります(有機塩素剤,クロルピクリン剤,臭化メチル剤などで出現します)。
9)皮膚症状;瘙痒感を伴うかぶれ,発赤,軽度の腫脹などがみられることがあります。クロルピクリン剤,臭化メチル剤などでは水疱,びらんをおこすことがあります。

石油系溶剤を含む乳剤などでは一般的に発赤を示すことがあります。
10)嘔吐,下痢,腹痛,咽頭痛,頭痛;多くの農薬中毒にみられます。
3.中毒患者の検査材料などの保存
 患者の嘔吐物,胃の内容物,胃洗浄液,尿,血液などは,一応保存しておいて下さい。

特に,尿は必ずとっておいて下さい。

これは,中毒の原因となった農薬を明らかにし,さらに吸収量を推定する場合に有用です。

生体試料の分析がすぐ出来ないときは凍結保存して下さい。

血液は血漿または血清にして,凍結保存して下さい。