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環境
人体にマイクロプラスチック、初の報告
調べた全員の糞便に存在、日本人からも、学会発表
2018.10.24


2015年3月17日にドイツ、ヴァルノウ川の川岸で見つかったマイクロプラスチック片。(PHOTOGRAPH BY BERND WUSTNECK/ PICTURE-ALLIANCE/ DPA/ AP IMAGES)
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 避けられない事態が明るみに出た。

マイクロプラスチックはすでに鳥、魚、クジラの体内から発見されており、それが人間の中からも見つかったというのは、決して意外なことではない。

具体的にどこから見つかったのかといえば、びろうな話になるが、ある予備的研究に協力した8人の糞便からだ。

この結果は、10月23日に欧州消化器病学会で、オーストリア、ウィーン医科大学の胃腸病学者であるフィリップ・シュワブル氏により発表された。

 マイクロプラスチックの行方を追跡し、その小さなかけらが飲料水、ビール、食塩、海産物の中にあることを確認してきた研究者らの予測は正しかったわけだ。

ただし、この事例がどんなことを示唆しているのかについては、まだ明確な答えは出ていない。(参考記事:「9割の食塩からマイクロプラスチックを検出」)

 マイクロプラスチックが人間の体内にあることを示す証拠が初めて見つかったという事実は重大だ。

一方で、これほど小規模の調査では、これらのプラスチック片がどこから来たのか、またこれらが人間の健康に及ぼしうるリスクとはどんなものかといった疑問に答えは出せない。

(参考記事:「マイクロプラスチックの健康への影響は?」)

 食品の包装材からは、微小なプラスチックが剥がれ落ちることがある。

カーペットや衣服など、合繊繊維を使った製品からも、やはりプラスチックの繊維が落ちるだろう。

糞便に含まれていたマイクロプラスチックの出どころは、空気中を飛んできて、研究に協力した人の食事の上に落ちた埃かもしれない。

それとも、食べ物や、食べ物の包装材そのものが原因だろうか。

(参考記事:「忍び寄るマイクロプラスチック汚染の真実」)

 疑問はほかにもある。体内に入った後、髪の毛の5分の1ほどの太さのプラスチックの繊維は大動脈やリンパ系に入り込むのだろうか。

また、肝臓に到達することもあるのだろうか。

今のところ、これらはすべて謎に包まれている。

「糞便からマイクロプラスチックが見つかったというニュースは、まったく驚きではありません」。そう語るのは、カナダ、トロント大学の生態学者で、マイクロプラスチックの魚への影響を研究しているチェルシー・ロックマン氏だ。

「これは、われわれが自ら出したごみを食べているということを示しています。管理を誤ったツケが、夕食の皿の上に戻ってきたのです。もちろん、人体にどのような影響があるかについて、研究を進める必要があります」
 

8名中8名に存在、日本人も
 毎年、およそ800万トンのプラスチックごみが、世界中の海へと流れ出している。

その大半が使い捨ての品々だ。

海に出たプラスチックは、日光と波の働きによって米粒ほどの大きさまで分解される。

衣服に使われるポリエステルやアクリルといった合成繊維は、洗濯機経由で淡水系に流れ込む。

フリースの上着の袖をこすれば、目に見えない繊維が剥がれ落ちるだろう。

 このようにして、小さなプラスチックのかけらや繊維は、今では地球全体に広がってしまった。プラスチック片は深い海溝の中にも、われわれが呼吸する空気の中にも存在する。

(参考記事:「使い捨てプラスチックの削減を、米版編集長が声明」)

 とても小さなプランクトンから巨大なクジラまで、さまざまな海洋生物がプラスチックを食べている。

その中にはマイクロプラスチックと定義されるほど小さなものも含まれる。

プラスチックを食べた生きものは、体に重大な影響を受ける場合が多い。

これまでのところ、世界に広がるプラスチックの影響に関する研究は、主に鳥などの動物を対象に行われてきた。

マイクロプラスチックは少なくとも114種の海洋生物から見つかっており、生殖系や肝臓に影響が出る可能性が指摘されている。

(参考記事:「イルカに化学物質が蓄積、プラスチック添加剤」)

 発表を行ったシュワブル氏は、今回の発見によって、マイクロプラスチックが人間の健康に及ぼす影響の研究が促進されることを願っている。

「今回の結果を踏まえると、マイクロプラスチックが人体の中に存在する確率はかなり高いと考えられます。しかし、マイクロプラスチックが人間の内臓にまで到達するかどうかについては、まだ誰も調べていません」

 この研究結果はまだ第三者による査読を受けておらず、論文も出版されていない。シュワブル氏は11月までに査読を受けた論文を発表したいとしている。

また今後は規模を拡大して、より大きなグループで調査を行う意向を示している。

 今回の調査に協力した人々は、男性3名と女性5名、年齢は33歳から65歳で、7名が欧州の異なる国の出身で、1名は日本人だった。

彼らは1週間にわたり食事の記録を取った後、糞便のサンプルを提出した。プラスチックは、すべてのサンプルから検出されている。

(参考記事:「プラスチックごみ問題、アジアの責任は?」)

 食事の記録には、考えうるプラスチックの出どころについての情報も含まれていた。

8名中2名の協力者は、毎日ガムをかんでいた。

8名中6名が海産物を食べていた。

全員が1週間を通じて、プラスチックの包装材に入っていた食べ物を口にしていた。

協力者たちは毎日平均約740mlの水をPETボトルから飲んでいた。