・ホタテやアサリ、ハマグリから繊維状プラスチックを検出
マイクロプラスチックとは、世界の海洋を汚染する微小なプラスチックの総称で、研究者の間では5mm以下のサイズのものを指すと定義されています。
マイクロプラスチックの主な発生源としては、ポイ捨てされたペットボトルやレジ袋など使い捨てプラスチックが環境中で微細化したもの、化粧品に使用される洗浄剤としてのマイクロビーズ、プラスチック原料としてレジンペレットなどが挙げられています。
それに加えて、洗濯排水に含まれる洋服の化学繊維が挙げられています。
汚染全体に占める洗濯排水中の化学繊維の割合は不明ですが、中国の二枚貝(ホタテやアサリ、ハマグリ)から検出されたマイクロプラスチックの調査では、繊維状のプラスチックが全体の70%を占めていました。
また洗濯時の排水を調べた海外の研究によれば、フリース(ポリエステル繊維から作る柔らかい起毛仕上げの繊維素材)の洋服一着の洗濯で、約2000本の化学繊維が排水に出ると言われています。
別の研究では、1回6kg の洗濯で、最大72万8000本の化学繊維が出たという研究もあります*1。
糸くず処理に疎い海外の洗濯機
海外と国内の洗濯機でフィルターに違いはあるのか調べてみました。
オーストラリアでの洗濯機の相談窓口などの情報を見ると、新しい洗濯機に変えたら洗濯物につく糸くずが増えたという相談があり、最近の洗濯機には糸くずフィルター(lintfilter)が付いていないものが多いようです*2。
そこで先述の海外の研究で使用された洗濯機を調べたところ、それはドラム式で、一応糸くずフィルターは付いているもののマニュアルには「フィルターの掃除は年に2~3回でよい」という記述があり、構造上細かい糸くずを取るようにはできていませんでした。
他社のドラム式洗濯機のフィルターを見ても、メッシュが粗く、洗濯物に入っていたコインや鍵などの固形物をひっかけるくらいのものでしかありません。
とても5mm 以下の糸くずを取れるものではありませんでした*3。