● 情報隠す体質は変わらず 事故の「報告不要」を指示した総務省
安全性の軽視や閉鎖的な体質は、情報の公開が独りよがりで、都合の悪いことは隠す体質につながる。
たとえば、メーターの切り替え工事をする場合、施工業者から各家庭にチラシ1枚の連絡があり、断らない限り実施される。
配布される「取替工事のお知らせ」(チラシ)には、訪問予定日と工事の際の停電の有無が大きく記入されているだけで、何のために、どんなメーターに交換するのか、交換にはどんなリスクがあるのかなどの説明はない。
チラシが配布されたその日のうちに工事が行われ、知らないうちに交換された例や、偽りの説明をして強引に交換した例もあり、事実上の強制とみる人が多い。
ところで、電気製品の発火は、消費者庁などが運営する「事故情報データバンクシステム」に掲載(登録)し、広く消費者に知らせて注意を促すべき事故だ。
消費者安全法は、商品の安全性の問題で消費者が身体に一定程度の被害を受けたり、受ける恐れがあったりする事故の報告を行政機関に義務づけている。
実際、スマートメーターの発火事故は同システムに2017年1月から掲載されてきた。ところが、いつの間にか、東京都内の事故が掲載されなくなった。
原因は、総務省消防庁が18年4月、東京消防庁に「今後、報告しないよう」指示したことだった。
消防庁によれば、スマートメーターは東電PGの所有物であり、消費者が家の中で使う一般的な家電ではない。
このような製品の火災は報告しないことに決めており、東京消防庁の運用は間違いだという。
これについて石田真敏総務相は昨年12月7日の会見で「スマートメーターの火災が複数発生している状況を踏まえると、消費者の注意を喚起することも重要だと考えられる。今後、消費者庁とも相談し、スマートメーターも報告対象とすることについて検討していきたい」と述べている。
昨年4月といえば、電磁波研などが、政府の全世帯への設置計画に対して、「スマートメーターの全戸強制をやめさせよう」と、訴え、衆院議員会館で集会を開いた時期だ。
その時期にあえて消防庁が「事故報告不要」の指示を出したことになる。
(ジャーナリスト 岡田幹治)