・隣の家でシロアリ駆除剤を散布した。
駆除剤自体の人への毒性は少ないものだけれど、以前に散布されたときと違って去年のは苦しくて2週間しても家に帰れないと、イソジアネートの分析をしたところ、自宅との境目で6ppbもありました。
左端に示したところです。
裏の家で柔軟剤の匂いがきつくて苦しいのでそちらも図ったら10ppbもありました。
職場環境の許容濃度5ppbより高濃度、一般環境標準濃度0.01ppbとはけた違いに高濃度。 最初のは長持ちするようにイソシアネートでマイクロカプセルに入った液にしていることが分かったそうです。
その家を出て車で、同じ団地内の子供の具合が悪い家、2軒と化学物質過敏症と診断書を受けた家とに回りました。
この3個のピークがそれです。
隣で昨日蚊取り線香をたかれたという家のは6ppbで左から3つ目のピークです。
新しい住宅が密集した団地を過ぎると、イソシアネート濃度は下がりました。
交通渋滞していた利根川を渡る橋の上でも、かえって低い値でした。
自動車排気と関係ないのです。
最後の所では猫除けの薬をまいた隣の家の庭でもイソシアネートがありました。
・さっきの環境のイソシアネートの濃度は有害でしょうか。
住宅環境で長期間その空気を吸っていても健康に影響ない濃度を、動物実験などで推測したものを、レファレンス濃度・RfCといいます。
重さで測った1m3当たりの重さ濃度μg/m3と、分子の数で測った数の濃度ppbまたはppmと二つの表し方があります。
ppbは分子の数の割合が10億分の1、ppmは100万分の1です。
TDIジイソシアネートの環境での安全濃度は汚染の重さで0.07、μg/m3、汚染の分子の数の割合で 0.01ppbです。
有機溶媒として多量につかわれているトルエンでは、70ppb、毒性が高いといわれるホルムアルデヒドでも、80ppb、とイソシアネートに比べると数万倍も高い濃度まで安全なのです。
職場環境では時間が短いので、許される平均濃度は住宅環境の100倍くらいありますが、イソシアネートは毒性が強いので、瞬間でも超えてはならない濃度が20ppbに決めてあります。
それらの濃度は、昨年1月からは厳しくなりました。
・国際イソシアネート協会という米国に置かれたメーカー団体よりの所でも、環境のイソシアネート濃度は同じくらいに注意しています。
これらに比べると、先ほどのこの周りで測った地域環境イソシアネートは0.4ppb以上で長期に有害、時には1ppbを超えることもあって作業環境としてさえ危険、ということになります。
・風が強い日の家の外での測定ですが、風の影響は著しく、緑で書いた有機化合物合計濃度・TVOCも赤で書いたイソシアネートも風が強いと検出限界まで薄くなりました。 しかし、風が弱いときには、その百倍もの濃度になっています。環境での濃度は変化しやすいので、長時間の平均濃度しか測れない精密分析よりも、瞬間ごとの濃度が大体記録できる直読式分析器の方が適していると思われます。 イソシアネートは空気の5倍も重く動きにくいので、軽いものが多い有機化合物・TVOCよりも風に対する濃度変化が鈍く、やや遅れています。