○西川座長 よろしいでしょうか。
2点御質問がありまして、1つ目の物質に対して、ヒトのデータがあるのではないか、しかも、NOAELが少し小さくなるのではないかという御指摘です。
6番目の物質について、もっと長い試験があるということですが、広瀬先生、いかがですか。
○広瀬委員 手元に詳しいものはないのですけれども、ヒトでは、たしか1mg/m3 でも目の刺激があったといったデータがあったのですが、ここで例えばラットでやった場合は、0.2mg/m3 ということで、計算してしまうとこちらのほうが低くなったので、これがいいかどうかは別にして、よりもっと低いもので選ぶという観点で選ぶとこれになった。
2-エチル-1-ヘキサノールについてはそうです。
プロピレングリコールモノメチルエーテルのことについても、2年間のデータがあるのですけれども、これも短期のほうの指標をどれにとるかがもちろんあるのですが、感度のちょっとした所見をとっていったときに、計算上の話ですけれども、多分同じぐらいのレベルだったのですが、こちらがちょっと低くなったからということで、これを採用しています。
○西川座長 6番目の物質、より長期の試験のデータを用いると、MOEはもっと小さくなるのでしょうか。
○東委員 MOEは1,104がNOAELで、多分、同じになると思うのです。
ただ、長期のものなので、短期、長期の換算は要らない。
○西川座長 ほぼ同じであれば、これらの物質を詳細評価に持っていくことについては問題ないかと思いますので、それは詳細のほうで検討したいと思います。
ありがとうございます。
それでは、池田委員、どうぞ。
○池田委員 日本大学の池田です。
この室内濃度指針値の見直しスキームに則ってやったらこうなったということなのですが、ただ、私は前の委員会から出ておりまして、最後の13物質の指針値を出した後、その次あたりには、いわゆるテルペン類ですか、α-ピネンとか、そういったものをやろうということは決まっていた気がするのです。それが何となく見送られて今日に至っているので、このスキームだけではなくて、前回の委員会の続きとしての、その辺をどうか考えられたのかというところです。
前回のところでは、たしかどれかが知見が不十分だから暫定目標値にとどまっていたことがあったと思うのですけれども、その辺をどう考えるのかということです。
特にテルペン類の中には、それ自体がそんなになくても、いずれ室内にある触媒を使ったような空気清浄機と反応すると、ホルムとかアセトになってしまうようなものもあるようなので、現状の空気の濃度だけ測って、それでいいの悪いのということではなくて、それが化学変化したことも少し考慮に入れたほうがいいのではないかと思ったのですけれども、いかがでしょうか。
○西川座長 この表にない暫定的な対応をすることになっていたテルペン類を含めた物質についてはどうかという御意見ですけれども、広瀬先生、いかがですか。
○広瀬委員 私からは、もし暴露実態という観点から補強いただければ、ほかの委員にお願いしたいとは思いますけれども、少なくとも発生の関係でピネン、リモネン系、ヘキサノールもそうなのですが、天然でも出てくるものとの区別をどう考えるのかというところがあると思います。
○池田委員 だから、天然であろうと人工であろうと出てくるものは出てくるわけで、ですから、特にα-ピネン類は、今、いわゆる新建材はだめだということになって、天然がいいということでやたらと導入されていますけれども、そのかわり、アセトアルデヒドがふえているとか、そういうことがありますので、何でもかんでも自然ならいいというものではないと思います。
特に、α-ピネン類は、総ヒノキでつくりたいという人が多いような気がするので、それで高気密・高断熱でやられた日にはとんでもない濃度になるし、また、それが触媒系の空気清浄機と反応でもするのならば、何が出てくるのかわからないという恐ろしいこともありますので、このスキームだけではなくて少し考えていただければと思いました。
○西川座長 ありがとうございます。
実態として、α-ピネンの高頻度・高濃度の発生があったかについて、その辺については確認されていますか。
○広瀬委員 新建材のところで測れば、当然その値は高くなっているところです。
それは確かにそれを管理するという目的のところまで踏み込んだことができるのかどうかというある程度の考えも行う必要があるのではということももちろんありますし、適正使用の観点からある程度考慮できるのかと思います。
○池田委員 使用や管理のことは、国土交通省にお願いすればいいのではないですか。
○広瀬委員 その辺をここで全部スキームに入れてしまうというのは少し難しいのではないかとも思いますが。
○池田委員 ですから、ここではあくまで健康影響という点から判断すればいいと思うのです。
○西川座長 それでは、今後の検討ということでよろしいでしょうか。
中井委員、お願いします。
○中井委員 この値自体に関しては、いろいろと議論がありましたけれども、初期リスク評価ということで、こんなものと言っては失礼なのですけれども、ヒトのデータがないなど、いろいろあって、気になるところではあるのですが、目安という観点でそれはいいかなと思ったのです。
広瀬先生のやられたことは、池田先生の発言と絡むかもしれないのですが、枠組みがわからなくなってしまうので、資料1-2の関係に近いかなと思うのですけれども、資料1-1は、今回はかられたものの中の濃度が高いものに関してリスク評価をやっていただいた。
資料1-2に関しては、前回の指針値で決められたものから新しい知見があったもの。ただ、例えばDBPなんて今回、はかっていられないですね。
その辺のつながりをどうこれから考えていくのかということがこれだけ見るとわからなくなってしまっています。
DBPの現状の濃度が全然わからないのですけれども、例えばもしかしたら改正したほうがいい、確かに低くなることに特に異論はないのですが、出なければやめるということもある意味選択肢の一つになるか、その辺がわからないのです。
私はこの後どう議論が進むのかよくわからないまま言うのですけれども、そこがこの枠組みの中だけでいってしまっていいのか、池田先生が言っていたような健康という観点、例えばヒトのデータという観点から11物質あるほうの2-エチル-1-ヘキサノールとかテキサノールに関しては、これに関する事例は何となく報告はあろうかなとは思っているのですが、それ以降のところがどの程度の観点なのか把握していないので、その辺をどう考えているのか。池田先生のおっしゃったピネン系のものなども含めて、そういった観点も入れていかないとどこかで落とし物、忘れ物をしてしまうような気がしてならないので、その辺をもう一回整理していただけるとありがたいのですが。
○西川座長 スキームについて見直しをしてほしいという御意見かと思います。
神野先生、どうぞ。
○神野委員 名城大学の神野でございます。
一つ、私見ですが、池田先生のおっしゃったピネン、リモネンといった天然にも由来する化合物で、それ自体の毒性もさることながら、恐らく池田先生が御心配されているように、オゾンなどが共存したときに、より反応性の高いものが生成する。その生成物の健康影響が懸念されるということだと思いますが、私も国立衛研に在職時代、いろいろ調べはしたのですが、定量的な議論ができる生成物のデータが余りないということと、まして、それに関する毒性データとなると、ほとんど皆無ということもあって、問題意識としては心しておく必要があると思いますが、リスク評価を進める上では、その毒性情報あるいは暴露情報の取得が律速になるのではないかと考えております。
また、中井先生がおっしゃった、フタル酸エステル類についてですが、私の理解するところでは、恐らく指針値が定まっている化合物についても、毒性情報が更新されるのに伴って、指針値を随時見直していく必要があるということだと思います。濃度に関しましては、私どもで、厚生労働科学研究で準揮発性化合物の調査はさせていただいております。
限られたサンプル数ではございますが、今回の新たな毒性情報に従って仮に指針値が小さくなることがあっても、その指針値を超える暴露濃度となることはないであろうという情報は得ております。
ただ、これに関してはまだ全国調査と呼べるような広範なものではございませんので、ここでの議論を踏まえて、国立衛研で全国調査を進めていただけるのではないかと考えております。