4:第20回シックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会 議事録 | 化学物質過敏症 runのブログ

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○西川座長 ありがとうございました。

   それでは、初期暴露評価と初期リスク評価の結果について御検討いただきたいと思います。

   ただいまの御説明ですと、参考資料2のスキームでいきますと、全国実態調査において、高濃度・高頻度で検出された化合物で、既に指針値が設定されている化学物質の主要な用途・発生源を考慮して絞り込んだ化学物質が、この資料1-1の11物質ということです。

   また、資料1-2が、既に指針値が設定されている物質、全13物質のうち、最新の知見に基づき指針値見直しの検討候補となり得る化合物も選定していただいたということであります。

   ただいま御説明について、委員の先生方からコメント等がございましたら、お願いいたします。

   角田委員、どうぞ。

○角田委員 これだけまとめられるのは非常に労作というか、すばらしいことだと思うのですが、気になったところが数点ありまして、一つはNOAELとLOAELが、NOAELまたはLOAELとしていますが、次のことでもありますように、やむを得ずLOAEL、LOELを使う場合には、10分の1にするということはよく毒性評価、許容濃度などでもやっていますので、LOAEL、LOELを使っているのが、4と7と11なので、これに関しては、LOAEL、LOELなので10ぐらいを考えたほうがいいのではないかと思いました。

   細かなことですけれども、体内負荷量はそれぞれの実験の体重をもとに換算されたのか、あるいはラットなら何グラムなどとやったのかということと、ヒト暴露濃度の換算のときにどう換算したのかという計算式ぐらいはあってもいいかなという気はいたします。

   細かいのですけれども、7のところの3-メトキシ-3-メチルブタノールは4週間なので、これは別で9番は28日間亜急性と書いてあるので、これは亜急性だと思うのですけれども、7、9、10が亜急性で、2と3は経口投与で、2は、これも亜急性レベルで、3はあえて言うのならば亜慢性に近いぐらいかなと思うのですけれども、これも考慮に入れるべきかと思いました。
11だけが慢性なので、これは慢性の値ということで、非常にわかりやすいと思うのですけれども、これもLOELだということも気にしなければいけないと思いました。

   ヒト暴露濃度のところがマイクログラムになっているので、桁がかなり大きくなっているのが気になるところなのです。

こちらの実験結果は大体ミリグラムでこちらがマイクログラムなので、この辺の比較が難しいかなというところも思いました。

   以上です。

○西川座長 ありがとうございます。

   幾つか御指摘いただいたのですが、単位を変えることは簡単にできることですし、試験の内容を亜急性、亜慢性、慢性、これも整理すればいいことだと思います。

あとは、計算式をどこかに書いたほうがよいという御指摘ですね。それも含めて検討したいと思いますが、広瀬先生、いかがですか。

○広瀬委員 御指摘はごもっともで、文言あるいは計算式の必要性については、修正したいと思います。
  LOAELを確かに便宜的に10で割ったということにすれば、左の表の数値の並びが見やすいということは確かにそうなのですが、さらに、慢性、亜急性というファクターも実は考慮しなければいけないので、そういう観点から、あえて今回LOAEL、NOAELの換算もしない形でまとめた経緯があります。

言いわけになりますけれども、そういう観点で示した値です。

   体重につきましては、論文にそのまま変換が出ている場合はその値、そうでない場合は化審法のスクリーニング評価で使うデフォルトを実は使っていまして、ラットの場合は200グラムか、350グラムとか、そういったデフォルトを使っているということと、マイクログラムにつきましては、見やすさをどちらにするのか迷ったのですけれども、最高検出濃度がμg/m3 だということで、比較のしやすさで選んだだけです。

もちろん、ミリグラムにすれば、これは全部1000分の1になるということで、それが御指摘と質問への答えにさせていただきます。

○西川座長 ありがとうございました。

   そのほか、よろしいでしょうか。

    では、東委員、どうぞ。

○東委員 今の角田先生のお話にもかかわるところで1点だけお願いしておきたいところがあるのですけれども、MOEの見方なのですが、今、お話にあったようなLOAELとNOAELの違いがMOEにも本来は反映されないと、今、比較が物質間でできない状態になっていると思うのです。亜慢性、慢性という、これは暴露時間も15日、28日、44日、90日、2年間という非常に幅広い期間が混在した状態になっていますので、これも本来MOEに考慮しないと、物質間の比較ができない状態になっているということがもう一点あるかと思います。

   それから、全て動物実験のデータなので、ヒトのデータが入ってくれば、本来はヒトと動物の種差のところも考慮していかないと、MOEが物質間でできないことになっていると思うのです。

そのあたりを、もしできれば今回のMOEについては、物質間では大きい、小さいを単純に比較できないというところをどこかにつけていただいたほうが、誤解がなくていいのではないかと思っております。

   本来、多分リスク評価をする場合は、一つ一つ物質ごとにそのあたりをこのMOEに対してコメントを入れて、LOAELとNOAELの違いとか、試験期間の違いとか種差、あるいは感受性の違いなども含めてMOEの値が検出最高濃度と比べてどうであるかということから、リスクとして大きいか小さいかという判断をすることになるかと思いますので、その点をお願いしたいということが1点です。

   もう一点、誤解のないようにということもありまして、真ん中のリスク評価のところで、ヒト暴露濃度のところのμg/m3 なのですけれども、これはヒトのNOAEL、LOAELではないと思います。

あくまで動物のNOAEL、LOAELがヒトの暴露濃度に換算されたことになると思いますので、ヒトのNOAEL、LOAELではないというところも少し入れておいたほうがいいと思います。

種差のダイナミクスなど、キネティクスですか、そちらが考慮された濃度換算にはなっていないというところがありますので、そのあたりも入れたほうがいいかと思っています。

   いろいろあるのですけれども、一旦切らせていただきます。

○西川座長 できるだけ一つ一つ議論させていただきます。

   一つはMOEの数値、これは恐らく一番厳し目の値を採用されていると思うのですが、広瀬先生、いかがですか。

○広瀬委員 確かに実際はMOEは、それぞれの物質の短期、長期、あるいはLOAEL、NOAELを考慮した後に設定して、それは実は初期評価では無理で、詳細評価である程度指針値を設定した後で、実際の暴露とMOEが大きいか小さいかということでないと確かに比較できないので、ここはどこまでの換算の値でMOEにするのか迷ったので、今回は動物実験の値をそのまま使うということで整理したということです。

   実際には、例えばもっと初期評価ということで考えると、短期の場合はもうさらに10とか、最初に全部デフォルトで掛けた上で、物質の横並びができるということは多分、物質間で書くという意味では、そちらのほうがよかったのかもしれないということで、それは今後の検討、時間はかかるということです。
NOAEL、LOAELの相当というのは、確かに頭出しのところに、「動物の」などと入れて、「動物のNOAEL又はLOAELのヒトでの相当換算量」ということで、そこは誤解が少ない修正が必要かと考えました。

○西川座長 あと、MOEの意義ですけれども、種差や個体差が入っていないということですが、それは評価をする際に、先ほど広瀬委員からも説明があったように、100以上があればよいのではないかという考えは、種差10、個体差10という考えが導入されますので、MOEの数値自体にはそういう点は加味されていないということだと思います。よろしいでしょうか。

  東委員、どうぞ。

○東委員 参考にされた実験データについてなのですけれども、2-エチル-1-ヘキサノールなのですが、これはラットの吸入実験のデータを使われているのですが、2-エチル-1-ヘキサノールは、ヒトボランティアのデータが結構使われていると思うのです。これは例えば日本産業衛生学会の許容濃度が先日出たのですけれども、そこも2-エチル-1-ヘキサノールはヒトのボランティアのデータを使っています。

具体的には、2005年のヒトの目の瞬目回数とか、あるいは鼻刺激のデータを使ったものがあって、それを使っていまして、ほかにもドイツの指針値とかあるいはEUの職業暴露限界値とか、そういったあたりの2-エチル-1-ヘキサノールは、ヒトのボランティアのデータが使われていますので、そちらを使用したほうがいいのではないかと思っています。

恐らくそちらのほうがMOEが小さくなるのではないかと思っています。
  PGMEのほうなのですけれども、プロピレングリコールモノメチルエーテル、これが、13週間のデータが、これは古い1983年のダウ・ケミカルのデータなのですけれども、これは2年間の暴露試験のデータがその後、同じダウのグループから出ているのです。

最近ではスペンサーのデータが2002年に出ていたり、あるいは、同じダウのグループで、98年にも2年間のデータで出ていて、恐らくこの300の1,104が2年間でNOAELになっているかと思うのですけれども、そのあたりのデータを参考にされたらいかがかと思っています。同じダウのところです。

   以上でございます。