(6)原告の症状の経過
ア 原告は,本件検査分析業務を行っていた平成5年9月から平成13年6月にかけて,頭痛,微熱,嘔吐,咳などの症状を発症し,被告の診療所においてかかる症状を訴え,処方を受けていた(甲41,乙6 0,原告本人)。
イ 原告はI,平成13年6月15日,被告の診療所を受診し,被告の産業医である㎜医師に対し,6年前に今の職場に来てから後鼻漏が続いており,平成12年の秋からアニオン界面活性剤の取扱量が増えたため悪化したこと,最近は微熱や尊麻疹も出ていること,今の職場にいる限り症状は続くと思うので職場を変えたいと思っているこど及び上司には異動希望を出したが即時の異動は無理そうであることを述べた。
原告は,同医師から日本赤十字社和歌山医療センター耳鼻咽喉科を紹介されたことから,同月21日に同耳鼻咽喉科を受診し,検査を受けたところ,アニオン界面活性剤についてのリンパ球刺激試験で陽性反応がある旨の検査結果が出た(乙60)。
ウ 平成13年6月に本件検査分析業務から外れた後も,原告は,被告に対し,体調不良が続いている旨伝え,それに応じて就労場所が前記(5)のとおり変更された(甲41,原告本人,弁論の全趣旨)。
エ 原告は,被告に対し,平成18年8月かち9月にかけて,当時就業していた紀和寮の図書室においても,下痢,嘔吐,全身の庫れ,発熱,全身の僻怠,頭痛等の症状が起こったことを伝え,職場の変更ができないかを打診した。被告は,原告からの打診に応じ,就労場所として星和寮大浦棟を用意した(乙55)。
(7)被告の退職制度(乙86)
(8)退職に至る経緯
(9)被告に対する是正勧告
原告は,平成26年8月8日,和歌山労働基準監督署に対し,原告の在職中,製品の検査分析業務に従事していた部屋において,有機溶剤が使用されていたにもかかわらず,発散源の密閉,局所排気装置の設置,プッシュプル型換気装置の設置,送気マスクや防毒マスクの備付け,作業用保護具め備付け,作業環境測定の実施の全てについて措置がとられていなかったとして,是正を求める旨の申告をした(甲63の1・2)。
和歌山労働基準監督署は,同年8月1 9 1ヨ及び同年9月24日,本件工場を臨検し,同年9月24日付けで,局所排気装置等を設置していないことの違反(安衛法22条,有機則5条),6か月以内に1回定期に使用している有機溶剤の作業環境濃度を測定していないことの違反(安衛法65条1項,有機則28条,2項),有機溶剤等を入れてあった空容器で有機溶剤の蒸気が発散するおそれがあるものについて,当該容器を密閉するか又は当該容器を屋外の一定の場所に集積していないことめ違反(安衛法22条,有機則36条)を認定し,被告に対して是正措置をとるよう勧告した(甲63の2,甲64。