11:花王化学物質過敏症裁判判決文 | 化学物質過敏症 runのブログ

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ウ 本件検査分析業務の再現による濃度測定結果(甲40)
 (ア)再現実験環境
   熊本学園大学社会福祉学部教授中地重晴は,平成26年7月22日,原告が被告において行っていたメチルエステル化作業及びアニオン界面活性剤含量測定業務を再現し,それら作業中の作業環境測定及び個人曝露量測定を実施した(甲4 0。 以下,この再現実験及び測定を「本件再現実験」という。)。
   本件再現実験は,メチルエステル化作業については,前記ア(ア)①から⑨のとおり,アニオン界面活性剤含量測定業務については,前記イ帥①から⑧のとおりの手順で再現を行った。

また,実験室の窓及びドアを閉め,全体換気装置やドラフトを動かさない状態で行った。
 (イ)測定方法,用語
  a 作業環境評価基準に基づく作業環境測定
    当該作業場所において,作業者の作業位置とは無関係に,おおむね6m以下の間隔の平行線の交点を測定点として選定し,10分以上,5つ以上の測定点において,作業が定常的に行われている時間に行う測定を,A測定という。
   有機溶剤の発散源に近接する場所において作業が行われる場合に,有機溶剤作業が行われる時間のうち,空気中の有機溶剤の濃度が最も高くなると思われる時間に,当該作業が行われる位置において実施される測定を,B測定という。

B測定において検出された濃度は,管理濃度の1.5倍までは許容され,これを超えれば第3管理区分とされる。
 b 個人サンプラーによる作業者の個人曝露量測定
   個人サンプラーとは,試料採取器具を作業者に直接携帯させて作業を行わせ,作業者の呼吸域での有害物質を採取する方法で,個人曝露濃度を測定する方法である。

作業環境評価基準に基づく作業環境測定の場合は,1地点10分程度しか測定しないが,個人サンプラーによる個人曝露量測定の場合は,作業の全期間を測定する。
 c 管理区分
   測寓値の評価が第1管理区分とされれば,作業環境は適切であると評価される。

第2管理区分とされれば,なお改善の余地があると評価され,局所排気装置の設置や保護具の着用などの対策を講じ,丁第1管理区分になるよう努力する義務がある。

第3管理区分であれば,作業環境は適切でないと評価され,直ちに設置,作業方法などめ点検を行い,そめ結果に基づき,作業環境を改善するために必要な措置を講じる義務がある。
(ウ)メチルエメテル化作業中のノルマルヘキサン濃度
  本件再現実験のメチルエステル化作業中に測定されたノルマルヘキサンの濃度は,A測定は第3管理区分に該当し,B測定は第1管理区分に該当し,総合評価では第3管理区分に該当するものであった。

個人曝露濃度では,許容濃度を下回る14.9 p p mであった。
  国 アニオン界面活性剤含量測定業務中のクロロホルム濃度本件再現実験のアニオン界面活性剤含量測定業務中に測定されたクロロホルムの濃度は,A測定B測定いずれも第3管理区分に該当するものであり,総合評価も第3管理区分であった。

また,個人曝露濃度は,許聯濃度である3ppmを上回る54.4ppmであった。
(5)本件検査分析業務後の原告の就労場所,業務内容等(甲41,原告本人,弁論の全趣旨)
 ア 家庭品グループ
   原告は,平成13年7月,本件検査分析業務から外れ,家庭品グループに移り,本件工場研究本棟1 2 2 号室 において,同グループの庶務作業を行うほか,ガスクロ装置や液クロ装置のトラブル対応等を行った(甲28の2)。
 イ 事務棟(オペレーションセンター)
   原告は,平成13年12月,就労場所を本件工場内め事務棟に移し,平成15年6月まで(平成14年4月まで事務棟4階,同月から平成15年6月まで事務棟2階),製品規格書の作成や品質規格疸明書の仕分け,管理等の事務スタッ・フ作業に従事した。
 ウ 情操棟2階
   原告は,平成15年6月,勤務場所を本件工場内の情操練に移し,平成18年6月15日まで,事務作業に従事したが,体調悪化を理由に,同年6月16日から]同年8月20日まで,私傷病特別休暇(年次有給休暇とは別に,連続8暦日以上の治療,療養,検査などに限定して40日の使用が認められる休暇制度)を取得した。
 エ 紀和寮図書室,星和寮大浦棟
   原告は,私傷病特別休暇から復帰した後,就労場所を紀和寮(被告の独身寮)の図書室に移したが,そこでも体調不良を訴え,平成18年9月から,星和寮大浦棟4 4号室に就労場所を移し,事務作業を行った。

その後,原告は再び体調不良を訴え,平成2 0年6月,同棟41号室に就労場所を移した。