2: 花王化学物質過敏症裁判判決文 | 化学物質過敏症 runのブログ

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(3)本件検査分析業務の概要
  原告は,地区SC品質保証部において,ガスクロマトグラフィー検査,液クロマトグラフィー検査,和歌山港へ放流している工場排水の分析及びアニオン(陰イオンともいう。以下ではアニオンと表記する。)界面活性剤の含量測定等の検査分析業務を行った(以下,原告が地区SC品質保証部において行った検査分析業務を総称して「本件検査分析業務」という。)○      ‘
  本件検査分析業務のうち,ガスクロマトグラフィー検査とは,ガスクロマトグラフ(以下「ガスクロ装置」という。)を使用して行う検査であり,固定相と移動相よりなる平衡の場において,移動相を気体とし,試料の各成分の両相へめ相互作用の大きさ。に違いがあることを利用して,混合物を分離,顕出する分析方法をいう(甲3,4.以下,このような検査業務を「ガスクロ検査業務」という。)。ガスクロ検査業務を行う前には,機器の共洗い(あらかじめ使用する試薬や試料と同じもので器具を洗浄しておく作業)や試料の前処理作業を行うところ,それら作業には,有機溶剤や化学物質を使用した。
  また,アニオン界面活性剤の含量測定とは,検体に含まれるアニオン界面活性剤の量を,メチレンプルーという青色色素の性質を利用して測定するものである。

具体的には,塩酸や工場排水等の検体にメチレンプルーという青色色素を反応させ,それによって生成されたものをクロロホルムに抽出する方法でアニオン界面活性剤を分離し,自抽出されたものを測定装置にかけてアニオン界面活性剤の濃度を分析するという手順を踏む(以下,このような測定業務を「アニオン界面活性剤含量測定業務」という。)○            ‘
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(4)・本件検査分析業務終了後の原告の就労場所
  原告は,本件検査分析業務の終了後,平成15年6月まで,本件工場内の事務棟(オペレーションセンターともいう。以下,事務棟と表記する。)で就労した。

その後,平成15年6月から平成18年6月まで,本件工場内の情操棟で就労し,同月から同年8月まで私傷病特別休暇を取得した。

当該休暇から復帰後は,被告の独身寮の図書室で一時就労したが,同年9月,就労場所を被告の社宅兼社内研修者用の共同住居の一室に移した。
(5)原告の退職
  原告は,平成24年10月1日,被告を退職した。
(6)原告に対する診断
 `㎜病院の㎜医師は,平成18年5月26日,原告が化学物質
過敏症に罹患している疑いが牌い旨の診断をし,またそよ風クリニック医師も・.平成29年7月22日・同様の診断をした(甲1 o ・ 1 1°).
  同年9月26日には,東京都杉並区荻窪所在のそよ風クリニックの宮田幹夫医師が,原告が化学物質過敏症に罹患している旨の診断をした(甲13)。
   その後,平成26年1月8日,国立病院機構盛岡病院の水城まさみ医師は,原告が,職場で取り扱っていたクロロホルム,メタノールその他の有機溶剤の繰り返す曝露に起因する有機溶剤中毒及び化学物質過敏症に罹患している旨の診断を行った(甲26)。

平成28年5月30日には,北里大学北里研究所病院の坂部貢医師が,原告について,揮発性有機化合物中毒の後進障害に基づく化学物質過敏症及び中枢神経機能障害が継続して認められる旨の診断を行った(甲49)。