3:香害被害者を「障害者差別解消法」で守る自治体も出てきた | 化学物質過敏症 runのブログ

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北アルプスのふもとに位置する同市では、小林純子市会議員(無所属)が6月議会で「香害」を取り上げ、とくに成長期の子どもにとって柔軟剤の使用は要注意であり、国の規制を待つ間にも被害が広がる恐れがあるとし、市の対応を求めた(注2)。

 これに対し、教育部長が「保護者や業者など来校される方へ呼びかけるポスターを学校の玄関に掲示すること」と「保護者向けのチラシを作製・配布すること」を検討すると答弁。

その一つをさっそく夏休み前に実施したのだ。

 多くの自治体が実施する香害対策の定番は、「過敏症などに関する情報のサイト(ホームページ)への掲載」と「使用自粛を呼びかけるポスター作製」だ。

 だがサイトを見るのは関心のある人に限られるし、ポスターも多くの人の目に留まる場所に掲示されるとは限らない(県が作製して市町村に配布したが、そのまま倉庫に眠っていた例もある)。

「学校だより」や「保健だより」で、注意を喚起している自治体もあるが、安曇野市のように教育長が直々に保護者に要請すれば、保護者も重く受け止めるに違いない。
またポスターが学校の玄関に掲示されれば、いやでも来校者の目に留まるだろう(注3)。

(注2)安曇野市では、柔軟剤などのニオイに不快感を示す児童・生徒が5人、教職員1人が報告されているだけで、消費生活センターへの相談はないという。

しかし小林議員には「ニオイの感じ方には個人差もあり、健康被害だとは言いにくい」などの声が寄せられており、被害が表面化しにくいのが現実のようだ。

(注3)給食当番が着て、週末に当番の子の家庭で洗濯する給食着をめぐり、強い柔軟剤臭が各地の学校で問題になっている。
 これについて日本石鹸洗剤工業会の繁田明・広報部長が最近、「(柔軟剤は)共有で使う給食着には用いない方がいいかもしれません」という見解を示した(8月21日付け『読売新聞』の「発言小町」欄)。

学校関係者はこの見解を踏まえ、早急に給食着の洗濯方法を見直すべきだろう。

化学物質過敏症の人は
「障害者差別解消法」の対象
 宮城県名取市も、一歩、踏み出した。

 仙台市の南に隣接する同市では、斎(さい)浩美市会議員(共産)が3月議会でこの問題を取り上げ、まず過敏症はアレルギーとは別の、病名登録され、健康保険が適用される病気であることを確かめた。

 さらに過敏症が「障害者差別解消法」の対象になることを市側に確認させ、山田司郎市長から「しっかり啓発していきたい」との答弁を得た。

 障害者差別解消法(2016年4月施行)は、障害のある人もない人も互いにその人らしさを認め合いながら、ともに生きる社会をつくることを目的に制定された。

 国・自治体や会社・商店などに対し、正当な理由なく障害を理由として差別することを禁止するとともに、障害のある人から社会の中のバリアを取り除くため何らかの対応を必要とするとの意思を伝えられた時には、負担が重すぎない範囲で対応するよう求めている。

 過敏症患者がこの法律の対象に含まれることは、昨年2月の高橋千鶴子衆院議員(共産)の質問への政府答弁で明らかになっていたが、名取市はそれを改めて確認したわけだ。

 過敏症患者はこれを根拠に、災害時の避難所や通学する学校で特別な対応を願い出ることができる。