2:水性塗料からの揮発ガスを吸入する子どもは、ぜん息、アレルギーのリスクが高い | 化学物質過敏症 runのブログ

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”全体として、グリコールエーテル類及びその他の有機溶剤曝露による長期的な気道の損傷についての疑問を明確にする必要がある”と科学者らは述べてた。

 どのようにしてグリコール化合物がアレルギーとぜん息の引き金となるのかは”よく分かっていない”と著者は述べたが、プロピレングリコールメチルエーテルの吸入がヒトと実験室のラットの鼻道に炎症を引き起こすことは”30年前から分かっている”と付け加えた。

 ぜん息、湿疹、及びアレルギーは、炎症性の免疫系障害である。

これらの化合物が赤ちゃんや子どもの免疫系の発達をかく乱することは可能である。

化合物のあるものはすでにホルモンをかく乱することが知られている。

 ”いくつかのグリコールエーテル化合物は、ヒトのアレルギー疾患に関係することが示唆されているVOCsの増大するリストに加わっている”と同研究は述べている。

”いくつかの PGE類は内分泌かく乱作用がよく知られているが、それらが免疫系の発達に対し影響を及ぼすかどうか、及ぼすとすればどのようにということは、ほとんど分かっていない”。

 ラオイザは、”私にとって最も関心があることのひとつは、一般的にはVOCsが、具体的にはPGE類が免疫系にどのように影響を与えるのかについての我々の理解が全く限定されていることである”と付け加えた。

 家屋塗装者とPGE類への曝露に協力してくれた人々に関する研究では、鼻と喉の炎症、呼吸の喘鳴と息切れが見られた。

しかし、報告書によれば、子どもの寝室で見出されたレベルは、職場及び実験で報告されている曝露レベルより400倍以上低い値である。

 ”いくつかの証拠は我々の発見が偶然やバイアスではないということを支持している”と著者らは報告している。

例えば、アレルギー、湿疹、ぜん息の増加は、最も曝露が低い子どもから、最も曝露が高い子どもまで、増加する曝露のどれについても、観察された。

さらに、単一の化合物から引き起こされることはない。

 ”このことは、単一化合物より複数の化合物の方が観察されたリスクに寄与していることを示唆している”とこの報告書は述べている。

 1-メトキシ-2-プロパノール は子どもの部屋で最もよく見られたグリコールエーテルである。

しかし、PGE類の複数のタイプが子どもの部屋で見られるので、”我々は現在、個々の化合物のリスクを識別することはできない”と著者らは述べた。

 彼らの分析で、研究者らは、二次喫煙、両親のアレルギー、化学剤による洗浄、家屋の築年数、、ペット・アレルゲン、及びフタル酸エステル類と呼ばれる他の屋内化学物質への曝露を含んで、子どものリスクを高めているかもしれない他の要素を説明した。

 ラオイザは、VOCsのテストは難しいが、研究者らは彼らの研究の限界を特定し、信頼性のおけるテスト手法を確立して”よい仕事をした”と述べた。

 寝室で見出されるレベルは、他の北欧諸国の家庭での以前の研究で見出されたものと著しく似ていた。

 その発見は、この仕事の強さであるとラオイザは述べた。

”言い換えれば、これらのPGE類が、例え低レベルであっても子どもたちの寝室に存在するということの妥当性に疑問を提起することができる人はいない”。

 多くの揮発性化合物はスモッグを浄化するために近年規制されている。

消費者製品はもちろん、車の排気ガスの中に見出されるこの石油由来の化合物は、太陽光中で窒素酸化物と反応してスモッグの主成分であるオゾンを形成する。

 スウェーデンのカルスタッド大学公衆健康科学教授カールグスタフ・ボネハグ(Carl-Gustaf Bornehag)、及びハーバード大学公衆衛生校教授ジョン・スペングラー(John Spengler)が実験の構想と設計を行ない、ハーバード大学のヒュノック・コイ(Hyunok Choi)が主著者となった。

訳注1
プロピレングリコール(ウイキペディア)
 有機化合物の一種。1,2-プロパンジオールともいう。

常温では無色・無味・無臭で吸湿性のある油状液体。

水・アセトン・クロロホルムと混和する。酸化プロピレンの加水分解によって製造される。
低用量では生物への毒性が低く、また無味無臭であることから、保湿剤、潤滑剤、乳化剤、不凍液、プラスチックの中間原料、溶媒などとして用いられる。

訳注2
免疫グロブリンE(ウイキペディア)
 健常人における血清中の免疫グロブリンE(IgE)濃度はng/ml単位であり、他の種類の免疫グロブリンと比較しても非常に低いが、アレルギー疾患を持つ患者の血清中では濃度が上昇しマスト細胞や好塩基球の細胞内顆粒中に貯蔵される生理活性物質の急速な放出(脱顆粒反応)を誘起する。

これらのことからIgEはヒスタミンなどと並んでアレルギー反応において中心的な役割を果たす分子の一つとして数えられる。