6:シックハウス症候群心身医学の見地から | 化学物質過敏症 runのブログ

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・4.結 論
A c t i v e S a m p l i n g法で化学物質の関与が示 された者では,身 体症状 ・抑 うつ気分 においてアラーム時 と症状 出現時 との間に有意差が認め られる傾向にあ り, さらに身体症状 と抑 うつ気分 との間に高い相関が認められた。

一方で,パ ニ ック障害の診断がついた 1名 の患者では化学物質の関与が示唆されず,ア ラーム時 と症状 出現時 との間に有意差 が認 め られたのが精神症状 のみであ った ことか ら,MCSで ない可能性が考え られた。

以上 よ り,MCS患 者の症状 自覚時には,化 学物質の負荷のない問診時 と異な り,抑 うつ気分の自覚が著 しいことが明らかにな った。 

さらに,化 学物質への反応が示唆された患者では,症 状 自覚時に身体症状 ・抑 うつ気分 のの双方 が 同時 に高 くな ってお り,交 感神経系 が機能不全 を示し,体 動が持続 しないことが示 された。
 

お わ り に
以上 2種 類 の心身医学的研究 の結果,MCSと い う疾患 は特徴的な性格傾向を持たず,誰 にも起 こり得 る病態で,化 学物質の暴露 によって多様な心身の機能異常 と自覚症状が引き起 こされるものであ り,既 存の精神疾患や心身症などとは異な った病態であると考え られた。
一方,A71CSの 診断には以下のような問題点があることも示 された。

① 厚生省研究班の診断基準Юは 「他の慢性疾患の除外」を前提 としているが, どこまでの範囲内の疾患を除外す る必要があるのかが不明確である。

身体表現性障害や慢性疲労症候群などの診断基準 は既知の身体疾患 の除外 を前提 と してお り,立 場 によ って どち らに も診断 され る可能性 が ある。

② 発症要因が明 らかでない MCS,遅延反応 として症状 が出現す る MCS,慢 性症状のみが残存す る MCSで は,特 に他の疾患と区別して診断することが難しい。

③化学物質暴露 との関連が特定できるグループに限定 したとして も,条 件付 けによる病態を除外す る方法が二重盲検法以外 にはない。

すなわち,あ る化学物質が存在す る特定の環境下で条件付 けが成立 した場合,同一環境下で症状が誘発 されるようになる可能性があるが,二 重盲検法 による負荷試験では症状の誘発を見ないはずである。
したが って,今 後 MCSの 疾患概念を明らかに し,診 断基準を確定 してい く過程では,ま ず発症や増悪 に関 して化学物質 との因果関係が明確なサブグループのみを対象に し,二 重盲検法 による負荷試験 を行 って,診 察 0検 査所見 との照合を通 してよ り特異性が高い診断項 目を絞 り込んでゆ くことが必要であろう。 

その後,化 学物質 との因果関係が必ず しも明確でないグループの検討を進めて行 くべきだ と提言できるだろう。
本稿では, シックハ ウス症候群の中で もMCSと 考 え られ る病態の心身医学的観点か らの解明に焦′点を当てて論 じた。今後のさ らな る多角 的 0学 際的な研究 が望 まれる。

 

runより:化学物質過敏症には精神が絡むのでこういう見方もできるでしょうがそれが全てではありませんね。