2:シックハウス症候群心身医学の見地から | 化学物質過敏症 runのブログ

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1.研 究の 目的
MCSの 発症 には化学物質 の暴露が必要条件であるという前提 に立 って,精 神的葛藤や行動様式が体の状態 に影響を与えて病気を作 り,逆 に体の状態が′心の働 きに影響を及ぼす という心身相関が,発 症のメカニズムおよび発症後の病態において成立 しているという心身医学的観点か ら,図 1に 示したようなス トレスモデルを仮定 した。 

これは, 1)発 症 に先立つ心理社会的ス トレスの影響 2)発 症および経過 に関わる個人差要因 3)発 症後の状態 における心身相関 という 3つ の観点か ら,「MCSの 発症には,化 学物質の暴露の他 に心理社会的ストレスや,パ ー ソナ リティやス トレス対処スタイルな どの個人差要 因が関与 しており,発 症後の病態 には身体面 と心理面の間に密接な関連が認め られる」 という仮説 を検証す るものである。`
2.研 究の対象 と方法
対象は,北 里研究所病院臨床環境医学センターの化学物質過敏症外来 を受診 し,MCSと 診断された 27名 (男性 9名 0女 性18名 )を患者群 とした。

コン トロール群 は,20~ 70歳 の健康男女,過 去 3年 以 内の 自宅新改築,現 在医療機関にて内服治療を受けていない, シックハ ウス症候群 と診断 されていない,と い う条件で募集 した 36名(男性 7名 ・女性 29名 )と した。

方法 は,研究① として患者群とコントロール群との比較を行い,研究② として,患者群を化学物質暴露とMCS発 症との因果関係が不明確なグループ (因果関係 (―)群 )と ,明 確なグループ (因果関係 (+)群 )の 2つ のサブグループに分 け, コン トロール群 との比較を行 った。 尚,解 析方法 は,上 記の項 目の うち数量 デー タは分散分析 を,カ テ ゴリー デ ー タ は χ二 乗 検 定 お よ び フ ィ ジシャー直接確率検定を行 った。

・3.研 究① :患者群 とコン トロール群 との比較1)発 症に先立つ心理社会的ス トレス生活健康調査表 (LHQ)5)において,過 去1年 間のライフイベ ン トの両群間の主効果に有意傾向(p=0.079)を 認 め,日 常の苛立ち事では有意差を認 めなか った。
2)発 症および経過に関わる個人差要因パーソナ リテ ィ傾向を検討す るために 3つの質問紙を施行 し,ス トレス対処を検討す るために 2つ の質問を使用 したが,い ずれの項 目について も両群間に有意差を認めなか った。

過去 1カ 月間に喫煙および飲酒を しなか った者 は, コン トロール群女性 に比べて患者群女性 に有意 に多か ったが, これは事後調査 により発症以前か らの特徴ではないことが分か った。