・http://www.poreporeclinic.jp/SickHouseSyndrome-AllergyVol10-12.pdf
シツクハウス症候群心身医学の見地から
Tsul uchi Yuko Sa忙o Ma‖ko Kumano Hlroak
辻内 優子* 齊藤麻里子
* 熊野 宏昭
*D
Tsuliuch Takuya Kubok Tomifusa
辻内 琢也
# 久保木富房
シツクハウス症候群は,建 築用材などに含まれる化学物質により中毒症状 ・アレルギー
症状 ・化学物質過敏症などの病態を惹き起こす混合疾患群である。
そのうち,発 症機序が解明されていない化学物質過敏症の概念に注目し,心 身医学的観点から2つ の研究を行つ
たところ,発 症や経過に特徴的な性格傾向などは関与していないが,発 症後には多様な心
身の機能異常や自覚症状を呈すること,精 神疾患の合併が多いことが分かった。
一方,サ ブ
グループの存在や異質なケースが紛れ込む可能性も示唆され,今 後診断基準をさらに特異
性の高いものにするための検討課題について者察を加えた。
シツクハウス症候群
化学物質過敏症 (MCS;muluple chemlcal sensiJⅥ廿es)
心身医学
ストレス
EMA(ecological momentary assesment)
は じ め に
シ ックハ ウス症候群 は,1987年 に Cul―lenが 提 唱 し た multiple chemical sensi―tivities(MCS;化 学物質過敏症)と して捉え られる病態 と,建 築用材などによる中毒症状やア レルギー症状を含む病態の混合疾患群 と考え られ る。
MCSと は,Cullenによると,極 めて微量 な化学物質 によ り多臓器 にわたって臨床症状が発現す ると考え られ る機序不 明の病 態 で あ り,症 状 は多彩で,主 に,ア レルギー様症状, 自律神経症状,精 神症状,消 化 ・呼吸 ・循環症状,免疫 ・内分泌 ・感覚 ・運動系症状などが出現す るとされている1ゝ2)。
その発症機序 は,ある物質 に大量 に暴露 されて感作 され, 2度 日以降はごく少量 の物質で も症状が出現す るというア レルギー様の反応が想定 されているが,定 説 となる発症機序 は解明されていない。
原因物質 と症状 との明 らかな因果関係 が見 出 され る,中 毒症状 や ア レルギー症状を呈 しているシックハ ウス症候群の診断はそれ程困難な ことではないか もしれない。
しか し,MCSの 疾患概念で捉え られるシックハ ウス症候群 は,そ の症状が多彩で不定愁訴的な ものであることか ら,受診する診療科 によって多種多様な診断名がつけられているのが現状であろう。
本稿では,筆 者 らが行 った 2種 類 の研究 を もとに,MCSの 病態 を心身医学的観点か ら解明 し,既 存の精神疾患や心身症 との異 同を問 うとともに,今 後の検討課題 について述べたい。
I.MCSと ス トレス性 要 因 との 関 わりの 解 明
3),4)