「ネオニコチノイド系農薬の使用禁止に関する意見書」 | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・「ネオニコチノイド系農薬の使用禁止に関する意見書」―日弁連が農水省等に提出
代表 中下裕子
 昨年12月21日、日本弁護士連合会(日弁連)は「ネオニコチノイド系農薬の使用禁止に関する意見書」を農水省等に提出しました。

その経緯、意見書の内容等をご紹介します。
意見書の作成経過
 日弁連では、環境問題に関する調査研究や政策提言を行う組織として、全国の地域から選出された100名の委員から成る「公害対策・環境保全委員会」が設置されており、これまで同委員会が中心となって種々な環境問題に関する意見書等が作成、公表されています。
 同委員会には、「環境法」「自然保護」「水」「大気・都市環境」「廃棄物」「原子力・エネルギー」「化学物質・食品安全」の7つの部会と、「地球温暖化 PT」などの課題別のプロジェクトチームが設けられています。
 農薬については、1990年9月の人権擁護大会において、深刻な人体被害を発生させる危険性がある農薬の使用削減、農薬に依存しない農法の推進、農薬の空中散布の禁止等を求める「農薬の使用に関する決議」を採択しました。

また、2003年10月の人権擁護大会では、シックハウス症候群・化学物質過敏症などの新たな人体被害の発生を踏まえ、予防原則に基づく総合的化学物質管理のための基本法の制定を求める「新たな化学物質政策の策定を求める決議」を採択しました。
このほか「化 学 物質・食品安全」部会が中心となって、「化学物質過敏症 に関 する提 言」(2005年)、「電 磁波問題に関する意見書」(2012年)など、科学的に未解明な問題についても、予防原則に基づく対策の実施を求める提言が行われています。

人の健康影響が強く懸念されている有機リン系農薬問題については、調査研究を行い、その結果に基づきシンポジウムを開催しました。
さらに、2014年からは有機リン系に代わる新たなネオニコチノイド系農薬についても調査研究に着手し、農水省・農薬対策室のヒアリング、五箇公一氏(国立環境研究所)、大野和朗氏(宮崎大学)によるレクチュアー、高知県の天敵を用いた農法の実践現場や、有機農業の実践に取り組む霧里農場(埼玉県)、民間稲作所(栃木県)の視察、農薬登録手続を行う「農林水産消費安全技術センター」(FAMIC)の視察などを経て、今回の意見書が取りまとめられました。
意見書の概要
 意見の趣旨は3項目から成っています。その第1は、新規ネオニコチノイド系農薬については、予防原則に基づいて登録を保留することです。
 第2は、既に登録されているネオニコチノイド系農薬とフィプロニルについて、暫定的使用禁止等ができるよう農薬取締法を改正することです。
 第3は、農薬取締法の改正には時間がかかると思われるため、その間にもできることとして以下の2つの措置をとることを求めています。

その1は、ネオニコチノイド系農薬の中でも、人体・生態系影響について科学的証拠が次々と蓄積されているクロチアニジン、チアメトキサム、イミダクロプリド、アセタミプリドとフィプロニルについては、登録期間(3年間)の更新を認めないことです。
その2は、カメムシ防除のためのネオニコチノイド系農薬の散布を削減するため、農産物規格規程における玄米の品位等級のうち、着色粒の基準を廃止することです。
 意見書には、これらの意見の理由についても詳細に記述されていますので、ぜひ一度ご一読下さい。