剪断速度とは、混合装置の攪拌翼の先端速度をv(m/s)、該先端と混合装置の内面とのクリアランスをD(m)とした場合にv/D(sec-1)で算出される値である。
例えば、図1に示すバッチ式混合装置1における剪断速度は、攪拌翼20の先端24の先端速度と、先端24と攪拌槽10の内面12とのクリアランス(図1中のD1)とから算出できる。
また、図2に示す連続式混合装置100における剪断速度は、攪拌翼120の先端124の速度と、先端124とステーター130の内面132とのクリアランス(図2中のD2)とから算出できる。
なお、当該剪断速度は、混合装置の攪拌翼の回転速度又は攪拌翼と内面とのクリアランスの調節により調整することができる。
本工程における循環回数は、2以上であり、好ましくは4以上である。
このような循環回数であると、水中油型乳化物中の非水溶性香料の分散が良好となり優れた貯蔵安定性が得られる。
また、循環回数が多いほど非水溶性香料の粒径を小さくかつ均一にできるが、循環回数の上限は、例えば、1,000,000以下とされる。
循環回数を1,000,000超としても、非水溶性香料の分散性向上の効果が飽和すると共に、攪拌装置に過度の負荷を与えることとなる 循環回数とは、工程(4)において、内容物が撹拌羽根により受ける剪断回数を示すものである。
循環回数は、乳化物と非水溶性香料とをバッチ式混合装置で混合する場合、下記(i)で規定されるものである。
(i)工程(4)をバッチ式混合装置で行う場合、下記(1)式により求められる値。
循環回数=Nqd×r×d3×θ÷V・・・(1)[式(1)中、Nqd:吐出流量係数、r:攪拌翼の回転数(rpm)、d:攪拌翼の直径(m)、θ:攪拌時間(min)、V:内容液の体積(m3)] 上記(1)において吐出流量係数Nqdは、攪拌翼の形式により定まる定数であり、吐出流量Qdに基づいて、下記(ア)式により算出することができる。 Nqd=Qd/NR3 ・・・(ア)[式(ア)中、Qd:吐出流量(m3/min)、N:攪拌翼の回転数(rpm)、R:攪拌翼の内径(m)] Qdは、「粒子が翼端から吐出され、翼からの吐出流の流れに運ばれて再び翼端に吸い込まれる」あるいは「翼からの吐出流から、翼からの吐出流によって誘起される流れに移り、翼に戻らずに循環を繰り返した後、翼からの吐出流の流れに戻り翼に吸い込まれる流れ」であると定義できる。
ここで、吐出流量係数Nqdは、撹拌翼の形式により定まるが、その係数の測定方法については、剪断速度が5,500sec-1未満である撹拌翼に適した測定方法と、剪断速度が5,500sec-1以上である撹拌翼に適した測定方法がある(参考文献:i 佐藤忠正 化学工学29,153(1965)、ii 特殊機化工業株式会社 乳化分散の理論と実際 実用編 13(1997))。
剪断速度が5,500sec-1未満である撹拌翼とは、プロペラ翼、パドル翼、タービン翼、ディスプロ翼、ディスパー翼等が挙げられる。
剪断速度が5,500sec-1以上である撹拌翼とは、T.K.パイプラインホモミキサーM型、T.K.ホモミキサーMARKII型、ウルトラタラックス、シャーフロー、シルバーソンミクサー等が挙げられる。
剪断速度が5,500sec-1未満である撹拌翼の吐出流量係数Nqd’は、実験的には、図3に示す測定装置200を用いて測定することができる。
図3に示すように測定装置200は、攪拌槽202と、攪拌槽202内に設けられた回転翼230と、鏡240とを備えるものである。
鏡240は、攪拌槽202の下方に、攪拌槽202の底面214に対し角度αの傾斜で設けられたものである。
攪拌槽202は、略円筒形の水槽210と、水槽210の内周面に、開口部212から底面214に掛けて等間隔で設けられた2枚の邪魔板220とを備え、水槽210は、ガラス又は透明樹脂等、少なくとも水槽210内部を鏡240で視認できる材質のものである。
攪拌翼230は、攪拌軸232と接続され、攪拌軸232は、図示されない動力と接続されている。 測定装置200は、各構成部材が下記の条件を満たすものである。
d/R=0.25〜0.5、C/R=0.1〜0.8、W/R=0.1、θ=45°(dは攪拌翼の直径(m)、Cは攪拌翼の取付高さ(m)、Wは邪魔板の幅(m)、Rは攪拌槽の内径(m)、αは攪拌槽の底面に対するミラーの角度(°)である。) 剪断速度が5,500sec-1未満である撹拌翼のQd’の測定は、撹拌槽202内に粒子262を分散した内容液260を投入し、内容液260を攪拌翼230で攪拌した際、粒子262が測定時間Tの間に攪拌翼230を通過する回数mqを、矢印F方向で鏡240を介して目視でカウントする。
そして、カウントした回数mqから、下記(イ)式により求めることができる(参考文献:佐藤忠正 化学工学29,153(1965))。測定に用いられる粒子262は、球形型のポリプロピレン製粒子(球形3mm、比重1.1g/cm3)であり、10個とする。
内容液体は25℃、測定時間Tは10〜15分である。 Qd’=mqV’/T ・・・(イ) 式(イ)中、Qd’は剪断速度が5,500sec-1未満である撹拌翼の吐出流量(m3/min)、mqは通過回数、V’は内容液260の体積(m3)、Tは測定時間(min)を表す。
剪断速度が5,500sec-1以上である撹拌翼の吐出流量係数Nqd’’は、実験的には、図4に示す測定装置300を用いて測定することができる。
図4に示すように測定装置300は、攪拌槽301と、攪拌槽301内に設けられたタービン翼302と、邪魔板の役目をするステーター303を回転翼304として備えるものである。
水槽305は、回転翼304上部に備えられた転流板306が浸水する程度の水を有する。
水槽305は、ガラス又は透明樹脂等、少なくとも水槽305内部を視認できる材質のものである。攪拌翼304は、攪拌軸307と接続され、攪拌軸307は、図示されない動力と接続されている。 測定装置300は、各構成部材が下記の条件を満たすものである。
b/B=0.2〜0.3、z/Z=0.5〜0.7、l/L=0.5〜0.7(bは攪拌翼の直径(m)、Bは攪拌槽の内径(m)、z/Zは攪拌翼の取付位置(m/m)、l/Lは転流板の取付位置(m/m)である。
剪断速度が5,500sec-1以上である撹拌翼のQd’’の測定は、水槽305内に粒子308を分散した内容液309を投入し、内容液309を攪拌翼304で攪拌した際、粒子308がステーター303内に入ってから一循環して、再度ステーター303内に戻るまでの時間を測定し、これを循環1回として、1,000回の測定値をとり、循環時間分布を作成した。
分布は、横軸を時間t[sec]、縦軸を「ある時間帯の回数/全回数」とし、これをg(t)としたときのものをプロットして、作成し、下記(ウ)式より、求めることができる(参考文献:特殊機化工業株式会社 乳化分散の理論と実際 実用編 13(1997))。
測定に用いられる粒子308は、球形型のポリプロピレン製粒子(球径0.3mm、比重1.1g/cm3)であり、10個とする。内容液体は25℃である。
Qd’’=V’’/T’’ ・・・(ウ) 式(ウ)中、Qd’’は剪断速度が5,500sec-1以上である撹拌翼の吐出流量(m3/min)、V’’は内容液309の体積(m3)、T’’は混合時間(min)を表す。
なお、T’’は、下記(エ)式より、求めることができる。
T’’=T1+T2 ・・・(エ) 式(エ)中、T1は、g(t)分布トップピークにあたるt軸をt1としたとき、t=0〜t1までの混合時間の平均を表す。
T2は、g(t)分布トップピークにあたるt軸をt1としたとき、t=t1〜∞までの混合時間の平均を表す。
t=0〜t1区間におけるg(t)、t=t1〜∞におけるg(t)は、g(t)軸のプロットをもとに、近似式として求めることができる。
剪断速度が5,500sec-1未満である撹拌翼、および剪断速度が5,500sec-1以上である撹拌翼のNqdは回転数、つまり撹拌レイノルズ数により異なるが、Nqdに対する撹拌レイノルズ数の関係は、撹拌レイノルズ数が大きくなると、Nqdも大きな値をとる。
撹拌レイノルズ数が大きい乱流領域では、Nqdが一定値をとるので、撹拌レイノルズ数を大きくしたときのNqdの値が10%以内であるときを確認し、その値を撹拌翼のNqdとして用いる。
例えば、バッチ式混合装置1において、攪拌翼20の直径dは、攪拌翼20の先端24が描く円形の直径(図1中のd1)であり、液体の体積Vは攪拌槽10内に投入する乳化物体積と非水溶性香料の体積の合計である。
また、循環回数は、乳化物と非水溶性香料とを連続式混合装置で混合する場合、下記(ii)で規定されるものである。
(ii)下記(2)式により求められる値。 循環回数=Nqd×r×d3÷F ・・・(2)[式(2)中、Nqd:吐出流量係数、r:攪拌翼の回転数(rpm)、d:攪拌翼の直径(m)、F:混合装置へ供給される流体の流量(m3/min)]上記(ii)において吐出流量係数は、(i)の場合と同様である。
例えば、連続式混合装置100において、攪拌翼122の直径dは、攪拌翼122の先端124が描く円の直径(図2中のd2)であり、混合装置へ供給される流体の流量Fは、吸入口112から供給される乳化物及び非水溶性香料の混合液の流量である。
本工程における温度条件は、特に限定されないが、例えば35℃未満が好ましく、30℃以下がより好ましい。
30℃以下であれば、B成分の熱劣化をより良好に防止できる。
次に実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例 実施例及び比較例の液体繊維処理剤組成物を製造するのに用いた成分を以下に示す。
(A)成分 表1に、実施例及び比較例で用いた(A)成分を示す。
表1<A−1、A−2の調整>A.水素添加したパーム脂肪酸メチルの合成 オレイン酸メチル75質量%、リノール酸メチル16質量%およびステアリン酸メチル9質量%よりなるパーム脂肪酸メチル(ライオン株式会社、パステルM182、分子量296)2.5kgと市販の安定化ニッケル触媒0.9g(0.1質量%/脂肪酸メチル)を4Lのオートクレーブに仕込み、窒素ガス置換を3回行った。
ついで、回転数を800rpmにあわせ、温度185℃で約54Lの水素ガスを導入した。導入した水素が完全に消費されたら、冷却し、濾過助剤を使用して触媒を除き、水素添加したパーム脂肪酸メチルを得た。
けん化価より求めた分子量は297であった。
GCから求めた脂肪酸メチル組成は、ステアリン酸メチル11質量%、エライジン酸メチル(トランス体)23質量%、オレイン酸メチル(シス体)65質量%、リノール酸メチル0質量%であり、不飽和脂肪酸メチルエステルのトランス/シス比率は25/75(質量比)であった。
尚、不飽和アルキル基は、GCにより次の方法で測定した。機種 :Hitachi FID ガスクロG-3000カラム:GLサイエンス TC-70(0.25mm I.Dx30)温度 :カラム150℃ → 230℃,昇温速度10℃/min、インジェクター&デイテクタ-240℃カラム圧力:1.0kgf/cm2(A−1)アルカノールアミンエステルとそのカチオンの合成 上記Aで調製した水素添加したパーム脂肪酸メチル489g(1.65モル)にステアリン酸メチル137g(0.46モル)とパルミチン酸メチル156g(0.58モル)を混合した脂肪酸メチルエステル(不飽和脂肪酸メチル/飽和脂肪酸メチルの質量比40/60)と、トリエタノールアミン250g(1.67モル)、酸化マグネシウム0.51g、14%水酸化ナトリウム水溶液3.69gを攪拌器、冷却器、温度計および窒素導入管を備えた2Lの4つ口フラスコに入れ、窒素置換を行った後窒素を0.52L/minの流量で流しておいた。
1.5℃/minの速度で190℃まで昇温して、6時間反応させた。
未反応メチルエステルが1質量%以下であることを確認し、反応を停止した。
得られた生成物から触媒由来である脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のアルカノールアミンエステルを得た。アミン価を測定し、分子量を求めると582であった。
runより:意味わからん(´・ω・`)