・出典:ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
http://kokumin-kaigi.org/wp-content/uploads/2018/08/JEPA-news109-web.pdf
公共施設での殺虫剤・化学物質使用の削減について―佐倉市・千葉県等での取組み
千葉県佐倉市市議会議員 伊藤とし子
2007年より毎年化学物質過敏症(以下、CS)問題を議会質問で取り上げてきました。
きっかけは市民相談でした。
その方は農薬の空中散布後数日たってから呼吸困難に陥り入院。退院後、北里研究所病院の検査と状況から農薬系が原因であろうと判断。
その後、街路樹への殺虫剤散布にも反応するようになった、ということでした。
農薬・殺虫剤使用状況調査
手始めに過去5年間の公共施設での「農薬・殺虫剤使用状況調査」を実施。
調査項目は「散布日付、場所、生息調査・物理的防除の有無、商品名、成分、有機リンなどの系統、原液使用量、希釈倍率、周知の有無・期間・方法」です。
結果は定期散布が行われ、学校や幼稚園などでは室内外に有機リン系殺虫剤を散布、学校トイレに発がん性のあるトイレボール使用など。
あろうことか1日しか休園日がない保育園で噴霧式家庭用殺虫剤を使用したり、室内やおもちゃを日常的に殺菌消毒剤で消毒するなど、様々な問題が判明しました。
08年「公共施設における総合防除指針」を策定中だった岐阜市を視察。
早速、佐倉市でも策定するよう議会質問で求めました。
佐倉市の総合防除対応
その後、佐倉市は「市有施設における農薬、殺虫剤等の薬剤使用に関する基本指針」を策定。
内容は、農薬・殺虫剤が有害であること、化学物質も子ども・妊婦だけでなく過敏な人にも有害である、と明記し、総合防除の考え方に基づき、①病害虫等が発生しにくい環境づくり、②生息状況調査、③病害虫が発生しても、薬剤に頼らない方法を定めた施設ごとのマニュアル策定、指針を周知させるための研修を盛り込んでいます。
11年4月より総合防除による公共施設の管理が始まりました。
毎年の検証がカギ
この「基本指針」が遵守されているかを毎年「農薬・殺虫剤・化学物質使用状況調査」で検証し、議会質問で問題点を指摘してきました。
担当である「資産管理経営室」は毎年、教育委員会も含め全庁的に「基本指針」と「マニュアル」の説明会を行い、きちんと管理するようにルールの徹底を図っています。
また、指定管理者等との契約時に仕様書に総合防除での管理を明記しています。
それでも、いまだにトイレに芳香剤が置いてあったり、植栽にディプテレックスが、室内にスミチオンが撒かれたり、と驚くことが起こります。
根気よく毎年検証し、問題点の改善を求めることは欠かせません。