6:農薬評価書:チアクロプリド | 化学物質過敏症 runのブログ

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(3)土壌吸着試験
4 種類の土壌[軽埴土①(茨城)、軽埴土②(石川)、砂壌土(宮崎)、シルト質埴壌土(茨城)]を用いて、チアクロプリドの土壌吸着試験が実施された。
各土壌におけるチアクロプリドの土壌吸着係数は表 18 に示されている。(参照 4、13)
(4)土壌カラムリーチング試験
砂壌土に[met-14C]チアクロプリドを 0.686 mg ai/kg 乾土となるように添加し、20±1℃の暗条件下で好気的にインキュベート[エージング土壌:チアクロプリド(48.8%TAR)並びに分解物 M2(35.4%TAR)、M30(1.3%TAR)及び M38(2.2%TAR)を含む]した後、内径 5 cm×高さ 30 cm の土壌カラムに積層し、5 日間にわたって上部から合計 996 mL の灌水を行って溶出液を採取して、土壌カラムリーチング試験が実施された。
土壌カラム中では、エージング土壌層(最上層)に 46.7%TAR、その下層に33.5%TAR 含まれており、下層へ移行するに従い放射能分布は小さくなった。

溶出液中の放射能は、比較的高い値を示したフラクションにおいても 0.25%TAR~0.41%TAR の範囲であった。
チアクロプリドの移動性は小さく、主要分解物の溶脱性も比較的低い傾向にあると考えられた。(参照 4、13)
4.水中運命試験
(1)加水分解試験
pH 5(酢酸緩衝液)、pH 7(トリス緩衝液)及び pH 9(ホウ酸緩衝液)の各緩衝液に、[met-14C]チアクロプリドを 0.35 mg/L となるように添加し、25℃の恒温暗条件下で、30 日間インキュベートして加水分解試験が実施された。
処理 30 日後にチアクロプリドは pH 5 及び 7 で約 100%TAR、pH 9 で約95%TAR 存在し、安定であった。(参照 4、13)
(2)水中光分解試験①(緩衝液)
pH 7 のリン酸緩衝液に[met-14C]チアクロプリドを 3.85 mg ai/L の濃度で添加し、24.3±1℃で 18 日間、キセノン光(光強度:94.5 W/m2、波長範囲:290~830 nm)を照射して、水中光分解試験が実施された。

また、暗所対照区が設定された。
チアクロプリドは照射 18 日後に 82.8%TAR 認められ、分解物として M35 が最大で約 5%TAR 認められた。暗所対照区では分解は認められなかった。

チアクロプリドの推定半減期は、キセノンランプ下で 79.7 日と算出された。
緩衝液中での光分解経路は、チアクロプリドの塩素原子が水酸基に交換されたのち、閉環反応により分解物 M35 が生成する経路であると考えられた。(参照4、13)
(3)水中光分解試験②(自然水)
自然水[河川水(ドイツ、pH 8.2)]に[met-14C]チアクロプリドを 0.644 mg ai/Lの濃度で添加し、24.9±2℃で 42 日間キセノン光(光強度:143 W/m2、波長範囲:290~830 nm)を照射して水中光分解試験が実施された。

また、暗所対照区が設けられた。
光照射区でチアクロプリドは光分解され、処理 42 日後において 44.6%TAR、分解物は M35 及び M3 が最大でそれぞれ 19.3%TAR 及び 9.93%TAR 認められた。

二酸化炭素は処理 42 日後に 6.2%TAR 認められた。

暗所対照区ではチアクロプリドはほとんど分解せず、試験終了時においてチアクロプリドが 93.8%TAR、分解物 M3 及び M35 がそれぞれ 2.36%TAR 及び 1.92%TAR 認められた。チアクロプリドの推定半減期は 42.5 日と算出された。
チアクロプリドは自然水中で光分解を受け、分解物 M3 又は M35 を経て二酸化炭素に無機化すると考えられた。(参照 4、13)
5.土壌残留試験
火山灰土・壌土(茨城)、火山灰土・軽埴土(茨城)、沖積土・砂壌土(宮崎)及び沖積土・埴壌土(高知)を用いて、チアクロプリド並びに分解物 M2 及び M30を分析対象化合物とした土壌残留試験(ほ場及び容器内)が実施された。

推定半減期は表 19 に示されている。(参照 4、13)