2:EPA は巨大タバコ産業のように振る舞い個人情報の秘密データを含む科学研究を利用することを禁 | 化学物質過敏症 runのブログ

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 『Merchants of Doubt (疑惑の商人)』はまた、タバコ会社の巨人フィリップ・モリス及び石炭会社マレー・エナジーのお雇い代弁者スティーブ・ミロイを取り上げている。

”一般的にダイオキシン、農薬、及び化学物質が我々に有害であるという証拠はない”と彼は一つの場面で述べている。

プルーイットがEPAの新たな科学政策を火曜日(4月24日)に発表したとき、彼はその発表の場に招待された少数の人々の一人であり、それは彼が長年”秘密の科学(secret science)”の規則の支持者であったからである。

他に招待された記者はいなかった。彼はまた、ほとんどすべての主要な報道機関の記事で引用され、時には彼自身が第三者の人間として紹介された。

 ”私はそれを私が最も誇りに思う私の成果の一つであるとみている”と業界の出版物 E&E News の中で述べた。

”これがどこにでもある理由はスティーブ・ミロイだからだ”。

 ミロイは、二次喫煙とがん、人間活動と地球温暖化、及び大気汚染と早死とを関連づけるピアレビューされた圧倒的な量の文献に異論を唱えつつ、確立された科学を長らく拒絶していた。

彼はこれらの一連の研究を”ジャンク科学”と呼んだが、その一番の理由は、それらが人間の健康に関するデータに基づいており、それらは個人情報保護法のために機密であるからである。数百人の科学者が、広範なピアレビューを通じてこれらの研究を承認しているにもかかわらず、ミロイは、結果は信頼できるものではないとして、それらを規制制定のために使用することは不適格であるとすることを求めた。

 これは、1990年代にタバコ製品が健康問題に関連していることを示す多くの研究が発表されたことに苛立ちが高まっていたタバコ産業により編み出された一つの策略であったとグランツは言う。”彼らはタバコががんに関連付するという結果を出した個々の研究のすべてと戦うのではなく、証拠の採用規則を変えることができるなら、彼らはもうそのような研究に悩む必要はないことを理解した”とグランツは述べた。

そこでタバコ会社らは、道理に合っているように聞こえる研究の”透明性”のための一連の規則を編み出し、それらを推進するために”健全な科学の進歩を目指す連合(The Advancement of Sound Science Coalition)”と呼ばれる一つの組織を創設した。

 今は現存しないウェブサイトによれば、独立系非営利団体を装った同グループは、”公共政策の決定に健全な科学(sound science)の使用を主張している”。

”彼らは、二次喫煙が何か悪いことを引き起こすものとみなされることを不可能にするよう疫学解釈のための標準を設けようと試みた”とグランツは述べた。しかし彼らはそのことに成功せず、世論は圧倒的な勢いで、二次喫煙は実際に有害であると信じる方向に変わっていった。

 地球温暖化または大気汚染に関しては、世論は合意のレベルには至っていない。

したがって、産業側と友好的なプルーイットの EPA は、派手な宣伝をすることなく同様な標準を実施することができている。

ワシントンポストによれば、”提案されている規則は基礎をなすデータが公的に入手できるような研究だけをEPAは考慮することを許される。

そのような制限は、EPAがどのように有害化学物質、大気汚染、及びその他の健康リスクからアメリカ国民を保護するかに影響を与えるであろう”。

グランツはそのような制限は公衆の健康だけでなく、公衆の知識をも害することになる。

”これは科学的意思決定プロセス全体にとって大きな脅威である”と彼は述べた。

 もし、個人の健康情報に基づく科学を政府が利用できないなら、タバコ産業は厳格な規制対象になることはなかったであろうし、フィリップ・モリスのような会社は、彼らの製品で危害を受けた人々に数十億ドル(I数千億円)も払わなくてはならないということは、なかったであろう。

化石燃料産業はプルーイットとミロイのおかげで、そのような運命をうまく回避するかもしれない。”企業権益は、あなたが知らないところで利益を得ている”とグランツは言う。

”もしあなたが問題の深刻さに気が付いていなければ、彼らはあなたが彼らに何かをするよう要求することについて心配する必要はなくなる”。

 エミリー・アトキン(Emily Atkin)は、 The New Republic の常勤の記者である。

訳注1:NYT 4月28日の記事の抄訳紹介
原文:The New York Times, By Lisa Friedman, April 24, 2018, E.P.A. Announces a New Rule. One Likely Effect: Less Science in Policymaking.

 ワシントン-環境保護庁(EPA)は、EPAが政策を開発する時に使用することができる科学研究の種類を制限するであろう新たな規則を火曜日(4月24日)に発表したが、これについて批判家は、公衆の健康を保護するためのEPAの能力を永久的に弱めるであろうと述べている。

 その措置の下にEPAは、大気及び水の規制を策定するためにEPAによって使用される全ての科学研究の基本的なデータは公的に入手可能なものであることを求めるであろう。

このことは、多くの研究が調査課題からの非公開の健康データに依存しているので、検討のために利用することができる調査の数を厳しく制限することになるであろう。

 EPA長官スコット・プルーイットは本日午後、EPA本部で、その新たな規則と同じ結果を達成するよう計画された法案を提出した共和党議院らを従えて、提案する規則を発表した。

 支援者及び批判家らは一様に、その政策は炭素排出、大気汚染、及び農薬を規制するEPAの能力を制限することになる広範にわたる影響をもたらすであろうと述べている。

 その新たな規則は、過去数十年間の最も重要な研究のいくつか-例えば、大気汚染が早死に関連している、あるいは人間の農薬暴露を測定している調査などは、もし科学者らが、公にしにくい個人情報を収集するために研究課題について取り決めた秘密保持契約を破ることに消極的なら、政策策定者が利用することはできない。

 EPAが意図するように、その政策を規則として制定するには、公衆のパブリック・コメントを受け、長いお役所仕事のプロセスを経なければならない。

しかし、いったん制定されれば、その措置は将来の政権が白紙に戻すことは困難になるであろう。(以下略)