各地に香料暴露に苦しむ人たちがいること、アレルギーや喘息、シックハウス症候群の人など、いつ香料暴露により化学物質過敏症を発症するかわからない子どもや大人もたくさんいること、香料が発達途上にある子どもたちに健康上の悪影響を与える可能性があることなどをまず一人でも多くの方に知っていただきたいと思います。
薬剤弱者と関わる職に就かれている方にはその認識をもって、香料をできるだけ控えていただくことも必要です。
施設として、また、職員の方たちにも香料自粛に率先して取り組んでいただけるように、基準や参考を示していただけないでしょうか。
なお、ポスター案等の基準を示す際には、どうか、定義や説明は正確な表現で、誤解を与えないような表現にしてください。
岐阜市や岐阜県教育委員会のポスター66)をはじめ現在多くの自治体で掲示されているポスターでは、化学物質過敏症の定義に関する記載が不 十分ですが、広島県や岡山県倉敷市など一部の自治体で、厚生科学研究「化学物質過敏症に関する研究(主任研究者:石川哲北里大学医学部長(当時))」(平成8年度)で示された定義「最初にある程度の量の化学物質に暴露されるか、あるいは低濃度の化学物質に長期間反復暴露されて、一旦過敏状態になると、その後極めて微量の同系統の化学物質に対しても過敏症状を来たす」67)に準拠して見直され、一度に多量の暴露によるだけでなく微量でも長期間の反復暴露によっても発症することの両方について記載があるポスターがあります68)-70)。
化学物質過敏症の名称や概念については議論があり、平成15 年度に厚生労働省で開催された室内空気質健康影響研究会により、既存の疾病概念で説明可能な病態を除外する必要性等があるものの「微量化学物質曝露による非アレルギー性の過敏状態」を示す病態の存在は否定できないとして、病態解明や感度や特異性に優れた検査方法、診断基準の開発等の研究の更なる進展が必要との見解が示されています71)。
報告書において、現状では混乱があるとして精度を高める必要性は指摘されていますが、「日本では石川らの提唱する『化学物質過敏症』が一般に使用されている」と述べられており、その後、平成21 年10 月には、標準病名登録マスターに「化学物質過敏症」が病名として登録されました28)。
今後も研究の進展が望まれますが、現在のところ、一般には、石川らが提唱した概念、定義の大意が継承されて病名として使用されていると考えられます。
岐阜市をはじめ多くの自治体のポスターでは、「最初にある程度の量の化学物質に曝露して過敏状態になる」ことについては記載があっても、「低濃度の化学物質に長期間反復暴露して過敏状態になる」ことについて記載がなく、実態を表す正確な表現と言えないため、見直していただく必要があります。
また、アレルギーや喘息、咳喘息、偏頭痛の方など香料によって症状を引き起こされる恐れのある人は他にもいるのに、「化学物質過敏症の方に『とっては』」と、香料により症状が引き起こされるのは化学物質過敏症の患者だけであるかのような誤解を与える表現になっていることも問題ですが、これも見直した施設があります70)。
さらに、香水等着香のみを目的とする製品以外に強い香りを放出する製品が増えている現実に対応して、「柔軟剤」や「洗剤」「シャンプー」の強い香りに関する注意喚起が必要で、要望案 23)-25)のように、現実や実態に即した誤解を与えない正確な表現のポスター案を示していただく必要があります。
なお岐阜市は、上記問題点を見直し文章表現を変更する方向でポスターの改訂を検討しています。
貴省は前述の「室内空気質指針値の適用範囲の在り方について」の中で、「特に弱者(小児、高齢者、妊婦、病人など)が暴露される可能性の高い空間においては、積極的な空気質管理が求められ、当事者による継続的なモニタリングによってその効果を高めていくべきである。」と述べています47)。
また、文科省は、パンフレット「健康的な学習環境を確保するために-有害な化学物質の室内濃度低減に向けて-」(平成23 年3 月発行、以下、「パンフレット」)72)や、参考資料「健康的な学習環境を維持管理するために-学校における化学物質による健康障害に関する参考資料-」(平成24 年1 月発行、以下、「参考資料」)73)等を通して、主な化学物質の発生源となる可能性のある日用品として芳香剤、消臭剤、洗剤等をあげて、清掃で使用する洗剤も「化学物質が発生しない、又は、発生の少ないものを選定することが必要であること、また、洗剤や消臭剤も放散源となる可能性があり、備品の購入に際して注意が必要であることや、芳香剤・消臭剤は可能な限り使用しないようにすることなどを示しています。
保育園や病院、福祉施設等でも、室内空気質に配慮し、同じように取り組むべきではないでしょうか。
国がメーカーの対応を待つ今も多くの人が苦しんでいる
9 月19 日の国民生活センターの報道発表から4 か月が経過しました。
「柔軟仕上げ剤」に関して、国民生活センターが業界団体に求めた「(商品の注意表示や啓発活動など)においが与える周囲への影響について配慮を促すような取り組み」のひとつとして、ウェブサイトで周りの方への配慮を求める注意書きが記載されるようになりましたが、メーカーによっては商品紹介ページに注意表示がなく見つかりにくいことや、使用量の2 倍を上限に使用量を増やしてもいいというアドバイスが掲載されたままであることなど、なかなか改善されない状況が続きました。
その後、国民生活センターや貴省からの指導もあり、12 月に再度確認すると当該メーカーのウェブサイトでのアドバイスが削除され、また、テレビCM でも「周囲の方への配慮」を促す注意表示が見られるようになりましたが、メーカーによっては、文字がとても小さく、色も目立たず、時間も短くて、注意して見ようと思っていたにもかかわらず文章を読み取れないほどのものもあります。
また、私たちが確認しているところでは商品ラベルでの注意表示の改善が進んでいるとはとても思えません。
最近、スーパーなどの店頭販売で製品毎の香りサンプルを置いて販売し始めたメーカーがあります。
すべての製品サンプルから香料成分が漂って、食品や周囲の紙製品などを汚染しており、以前より買い物が困難になったと訴える会員がいます。
この香りサンプルは、購入を考えてにおいを確認したいと思った必要な人だけが確認できるように蓋付きの密閉できる容器を利用するなど、メーカーは自ら「製品のにおいが与える周囲への影響について配慮」すべきではないでしょうか。
また、スプレーや、シート状、ビーズ状の衣類用香り付け製品や洗剤、シャンプーなどにもにおいの強い製品がありますが、それらの製品についても同様に、周囲の人への配慮を促す啓発が必要であるのに、放置されています。
貴省がメーカーの取り組みの様子を注視している今も、多くの人が香料への暴露に苦しんでいます。
今すぐできる対策として、まずは、子どもや病人、高齢者など化学物質の影響を受けやすい薬剤弱者が長時間を過ごす施設で、誰もが香料によって健康を害されることなく、安心して過ごすことができるように、ぜひとも保育園、病院および福祉施設における香料自粛の取り組みを進めていただきたく、また、様々な場所にあふれる香料の暴露に苦しんでいる人の声を受け止め、香料による健康被害が拡大しないための対策として、香料や香料含有製品への規制を導入するために必要な調査・研究を早急に行っていただきたく、上記の要望をいたします。
runより:まだ回答見つけてないんですが・・・
すごく真っ当な事を言っていると思うんですけどねぇ(´・ω・`)