芳香剤や建材等の化学物質過敏症、急増で社会問題化か | 化学物質過敏症 runのブログ

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http://biz-journal.jp/2018/05/post_23300.html
2018.05.11
芳香剤や建材等の化学物質過敏症、急増で社会問題化か…日常生活に支障で退職の例も
化学物質過敏症とは、化学物質に体が反応して体調の悪化をもたらす病気である。

芳香剤、柔軟剤、化粧品、農薬、塗料、建材など広範囲な製品に使われている化学物質が原因になる。

将来的に患者数が花粉症なみに増えるのではないかともいわれている。

 米国化学会(ACS)の情報部門であるケミカル・アブストラクト・サービス(CAS)が登録する化学物質の数は、1億件を超えている。

そんなおびただしい種類の化学物質のなかでも、化学物質過敏症の因子として特に注視されているのが、ウレタン原料のイソシアネートである。

その危険性に警鐘を鳴らしている内田義之医師(東京都練馬区・さんくりにっく)に、化学物質過敏症について伺った。

曖昧な日本の診断基準

――化学物質過敏症の診断基準を教えてください。

内田義之医師(以下、内田) 日本と欧米では、診断基準に大きな差があります。

たとえば米国では、慢性疾患で微量の化学物質への曝露にも反応するなど、具体的な6項目(別表参照)を基準に診断しており、アレルギー疾患としてとらえられています。

ところが日本の基準は曖昧で、たとえば「倦怠感や疲労感が持続すること」が主症状として定義されていますが、こうした症状は誰にでもありがちなものです。

また、「持続する頭痛」も主症状として定義されていますが、化学物質過敏症なのにまったく頭痛がない方もたくさんおられます。

 日本の診断基準は、あまりにも心理面を強調し過ぎ、化学物質過敏症という病気を正確にとらえられていないと思います。

とはいえ、化学物質過敏症を疑って受診される患者さんのなかには、実はノイローゼや思いこみである人も少なくありません。

 私は、日本も米国の診断基準を採用すべきだと考えています。

グローバルにデータを比較するという意味でも、日本の診断基準は問題があります。

これでは化学物質過敏症の実態を、ほかの国と比較することはできません。

ですから専門家が議論して、新たに診断基準を決めるべきでしょう。これは国の役割であると考えます。

――化学物質過敏症の大きな因子になっている化学物質、イソシアネートはどのような製品に使われていますか。

内田 極めて広範囲に使われています。

ウレタン材料として知られていますが、身近なところでは、芳香剤、柔軟剤、化粧品、農薬、塗料などです。イソシアネートは種類も多く、しかも増え続けています。

この化学物質は1960年代から、アレルギーを起こす物質として知られていました。

昔は動物の皮膚に塗って、その動物をアレルギー状態にする際に使われてきました。

ですからアレルギーを引き起こす化学物質であることは、かなり前から知られていたのですが、工業利用が優先されてきました。

欧米では厳しい規制基準がありますが、日本ではほぼ野放しになっているのが実情です。

 

・退職を余儀なくされる例も

――化学物質過敏症の具体的な症例を教えてください。

内田 典型的な実例としては、自宅でのウレタンコーティングの剥離作業が原因で、重度の化学物質過敏症を発症した銀行員の女性のケースがあります。

剥離されたウレタンコーティングから分解し、気化したイソシアネートを多量に吸い込んだのが原因です。

この女性は、作業が行われた日に、たまたま体調を崩して自宅で療養していました。

そのために被曝したのです。

最初は、頭痛、めまい、下痢、目の充血などが見られました。

イソシアネートだけではなく、他の化学物質にも反応するようになり、化学物質が入った食品を制限せざるを得なくなりました。

柔軟剤や香水にも体が反応して、銀行窓口での接客業務ができなくなり退職されました。

 他の例としては、41歳の男性のケースがあります。

自動車のペンキ塗装がこの人の仕事でした。

はじめてこの仕事に就いて1週間後に、咳、息切れ、鼻水、変声などの症状が現れました。

皮膚にも異常が出て、熱も出ました。

塗装作業をはじめるとすぐに症状が現れるのではなく、帰宅後、夜の10時か11時ぐらいから症状が出ます。

そして朝になると症状が消えます。

その繰り返しでした。

日曜日は仕事が休みなので、1週間のうちで月曜日の朝だけは元気でした。

レントゲンを撮ると影がありました。イソシアネートによる過敏性肺炎という所見でした。

入院して治療した結果、症状はかなり改善しました。

その後、塗装の仕事を辞めて、今は元気になられました。

 集団で化学物質過敏症を発症した例もあります。

浜松市の天竜川の支流の集落でのことです。

発泡ウレタン(トンネルのコンクリートと土の間を埋める材料で、イソシアネートが使われている)を入れる工事をしていたところ、その集落に住む住民らが、次々と皮膚炎や鼻水などの症状を訴えたのです。

大半の人は工事が終わると症状も消えましたが、2年が過ぎても治らない人が私のクリニックへ来ました。
浜松市も最初は、ウレタンによる中毒症状だろうと判断したようですが、1年もしないうちに大半の人から、症状が消えたので特に大きな問題にはなりませんでした。

ところがそれから2年が過ぎて、トンネルの発泡ウレタン補充作業が実施されたのですが、その際、再び同じことが起こりました。

そして補充工事が終わり、しばらくするとまた住民たちの症状は消えました。

こうした状況からウレタンのイソシアネートによる影響だった可能性が高いのです。
 以上の3ケースは、イソシアネートが引き金となった化学物質過敏症の典型的な実例です。