4:環境化学物質による子どもの脳の発達への影響について | 化学物質過敏症 runのブログ

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―発達神経毒性を持つ環境化学物質の中でも特にこの環境化学物質が危ないということはわかっていますか。
J 農薬については数多くのデータが蓄積されてきています。

有機リン系農薬については、アメリカにおいて、有機リン系農薬へのばく露により IQ の低下、記憶や学習能力の低下、ADHD 発症リスクの上昇などを示す論文が2010年頃から次々と発表されています。

2016年に中国で行われた調査でも、母子の尿中に有機リン代謝物が高いと脳に悪影響が出るという論文が出されました*3。

最近では、動物実験や疫学研究から、発症しやすさに関わる遺伝子と有機リン系農薬のばく露の関連もわかってきました。
このように有機リン系農薬が脳の発達に悪影響を及ぼすことは多くの研究から確認されてきています。

他方で、有機リン系農薬の使用量は近年減少傾向にあるにもかかわらず、発達障害児は増加し続けているので、有機リン系以外の有害な環境化学物質の関与も予想されます。
ピレスロイド系農薬についても、ピレスロイドへのばく露と ADHD との関連を指摘した論文*4、脳内血管系発達に影響を与えるという論文*5、精子の減少を明らかにした論文*6などが発表されています。
ネオニコ農薬でも、脳発達への影響に関わる発達神経毒性をネズミで証明した論文が2016年に出てきています(後で詳しく述べます)。
2012年に米国小児科学会は「農薬へのばく露は、脳の発達に影響を及ぼし健康障害を引き起こす」という公式声明を発表し、社会に対して警告しました*7。

2015年には国際産婦人科連合会(FIGO)が、農薬や環境ホルモンなど有害な環境化学物質へのばく露によって、ヒトの生殖や異常出産が増え、子どもの健康障害や発達障害が増加していると警告しました*8。

世界保健機関(WHO)も2007年から環境ホルモンや大気汚染、農薬などが子どもの健康に悪影響を及ぼすことを懸念して取り組みを進めています。
Y 経済協力開発機構(OECD)加盟国の農薬使用量と自閉症や発達障害児の有病率を比較してみると、単位面積あたりの農薬使用量が世界2位と1位である日本と韓国が、発達障害児の有病率でもともに世界2位と1位で一致しています(図2)。

農薬使用量と発達障害児の増加の関係は無視できないと考えています。