―自閉症の原因は遺伝子にあるという説は、その後どのように研究が進んだのでしょう。
Y 遺伝子技術が飛躍的に発達して、遺伝子の解析が容易にできるようになると、1990年頃からアメリカを中心に、自閉症の原因遺伝子を探そうという研究競争が盛んになりました。
自閉症の原因遺伝子を最初にみつけてノーベル賞をとろうとする研究者が次々と出てきたのです。
―自閉症の原因遺伝子はみつかったのですか。
Y 単一の遺伝子で自閉症を発症する原因遺伝子は未だに見つからず、ないということになりました。他方で、自閉症との関係が深い遺伝子(自閉症関連遺伝子)は、何百と見つかりました。自閉症関連遺伝子の数は800から3000と言われています。
その中で特にその遺伝子の変異によって症状が発生する可能性の高いコア遺伝子は100~200程度です。
自閉症のなりやすさも可能性が大きいものから小さいものまで猛烈に複雑です。
その中から「自閉症へのなりやすさに関係する遺伝子」を特定するための遺伝子研究が進められていますが、どの遺伝子がどのように関係して自閉症を引き起こすのか、それぞれの遺伝子がどの程度関与しているのか、複雑すぎてまだわかっていません。
J 2011年には、J. ホールマイヤーらが、ラターの疫学調査よりも多数の一卵性双生児を対象とした疫学調査でも、自閉症の遺伝要因は多くても37%と報告しました*2。
遺伝子だけでなく、環境要因が大きく関与していることがわかってきました。
Y 他方で、アメリカのカリフォルニア州などでは、ここ数十年で自閉症児が急増しています。
遺伝子の変化は何千年、何万年という長い時間をかけて広がります。
数年や数十年という短い期間で倍になるということは考えられません。生物学の原則から考えても遺伝ではなく環境が原因であることは明白です。
―遺伝要因ではなく環境要因が大きいということは、自閉症だけではなく発達障害全般について言えるのでしょうか。
J 自閉症については遺伝子研究が進みましたが、その他の発達障害についてはほとんど研究がされていません。
ただし、環境要因は、神経回路に関わる遺伝子の働きの調節に関わるもので、発達障害全般見つかりました。
自閉症関連遺伝子の数は800から3000と言われています。
その中で特にその遺伝子の変異によって症状が発生する可能性の高いコア遺伝子は100~200程度です。
自閉症のなりやすさも可能性が大きいものから小さいものまで猛烈に複雑です。
その中から「自閉症へのなりやすさに関係する遺伝子」を特定するための遺伝子研究が進められていますが、どの遺伝子がどのように関係して自閉症を引き起こすのか、それぞれの遺伝子がどの程度関与しているのか、複雑すぎてまだわかっていません。
J 2011年には、J. ホールマイヤーらが、ラターの疫学調査よりも多数の一卵性双生児を対象とした疫学調査でも、自閉症の遺伝要因は多くても37%と報告しました*2。
遺伝子だけでなく、環境要因が大きく関与していることがわかってきました。
Y 他方で、アメリカのカリフォルニア州などでは、ここ数十年で自閉症児が急増しています。
遺伝子の変化は何千年、何万年という長い時間をかけて広がります。
数年や数十年という短い期間で倍になるということは考えられません。
生物学の原則から考えても遺伝ではなく環境が原因であることは明白です。