2:定期的な薬剤散布をしていない鉄道・バスは? ―鉄道・バス車両における殺虫剤・殺菌剤散布状況ア | 化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 runのブログ

化学物質過敏症 電磁波過敏症 シックスクール問題を中心としたブログです

・使用薬剤の多くはピレスロイド系殺虫剤
 使用薬剤を種類ごとでまとめたのが図3で、多くの鉄道事業者では殺虫剤を使用。殺菌剤を併用しているケースもあった。

薬剤の回答で多かったのが、バルサンやアースレッド(シフェノトリン・メトキサジアゾン)、金鳥エクスミン(ペルメトリン)といった市販のピレスロイド系の殺虫剤であった。
薬剤散布事業者の6割は乗客への通知なし
 乗客に薬剤散布が分かるように知らせているかという質問への回答は、全体の約6割にあたる12事業者は乗客には知らせていなかった(図4)。
苦情や健康被害はほぼないというが…
 乗客から苦情や健康被害の訴えはあったかという質問に対しては、いずれの事業者も健康被害の報告はないと回答。

苦情については、JR東日本で「薬剤やワックスに関して意見をいただいたことがある」、神戸市バスで「消毒薬の周期についてご意見をいただき、希釈濃度を高める(薄める)ことで対応した」という回答であった(図5)。
日本鉄道協会の2005年調査との比較

 実は同様のアンケート調査が2005年に社団法人日本鉄道運転協会によって実施されている。そのきっかけは、2005年8月に、化学物質過敏症の団体から、鉄道車両内での殺虫剤などにより健康被害を受けたと、国土交通省鉄道局業務課に対して対策を求める要望書が出されたことである。
そのとき国土交通省は、このような「公衆衛生の向上及び増進」に関する任務を所管するのは厚生労働省であり、不特定多数の者が利用する公共施設における衛生管理上の措置を規定した法律としては「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(通称「ビル管理法」)があるが、鉄道車両への適用された例はないと主張。鉄道局には公衆衛生上の専門的知見もないので、鉄道行政として本件を真正面から取り上げるのは無理として、鉄道業界で自主的に対応を検討してもらうために、社団法人日本鉄道運転協会に検討を依頼。

そこで調査検討会が開催され、全国の鉄道事業者29社(なぜか JR 九州がない)に対して、車両中の定期的殺虫・殺菌剤散布のアンケート調査を実施した。