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環境
慢性疲労症候群:続く倦怠感、苦悩深く 福岡で公開講座へ
毎日新聞2018年5月17日 12時52分(最終更新 5月17日 15時47分)
ME・CFSと診断された北九州市の女性。
一日のほとんどを寝たきりで過ごしている=北九州市内で2018年5月14日、宮城裕也撮影
原因不明の激しい疲労感や倦怠(けんたい)感などが続いて日常生活が困難となる「筋痛性脳脊髄(せきずい)炎(ME)・慢性疲労症候群(CFS)」の患者らが20日、福岡市で市民公開講座を開く。
国内の推定患者数は約30万人に上るが、客観的な診断基準がなく、難病指定はされていない。患者らは「外傷がなく誤解されやすい。
まずは病気を知ってほしい」と訴えている。
<慢性疲労症候群>「なまけ病でないと知って」 つらさや悩み、患者呼びかけ
<「#慢性疲労症候群」発信を 患者ら呼びかけ>
<もしかして病気のサイン? 長引く「疲れ」に気をつけて>
<疲れをためない“脳疲労”のリセット術>
<まぶたのピクピクはストレス警報>
大阪府内に住んでいた女性(37)は2012年、突然、体のこわ張りに襲われた。
微熱や体の痛みが続いて、睡眠障害も出た。
やがて寝たきりの状態になってしまい、ME・CFSと診断された。
「君が病気になってから愛していない」。発症から4年、夫に別居を切り出された。
女性は北九州市の実家に戻り、今は離婚協議中だ。当初、夫は通院に付き添ってくれた。
しかし、深夜に仕事から帰って家事もする生活に疲れ果てていったという。
「ゴールが見えず、家族のサポートだけではどうしようもない病気なんだと痛感した」と女性はつぶやいた。
現在も一日に動ける時間は3、4時間。それ以外は床にふせている。
3カ月に1度、母親の助けを借りて大阪の病院に通うが、交通費や治療代で毎回7万円はかかる。
「認知度が低いので胸を張って病気と言えず、治療を受けてよいのか悩む」と打ち明ける。
福岡市の友谷友紀子さん(48)も、月に数日は寝たきり状態になる。
ヘルパーなどの福祉サービスを受けるために必要な障害者手帳を取得したいが、客観的な診断基準がなく、医師に診断書を出してもらえない。
「専門医が増え、行政的な支援が充実してくれたら」と願う。
友谷さんは公開講座で体験を語る予定だ。
公開講座は20日午前10時、福岡市東区の九州大馬出キャンパス内コラボステーション12階である。
日本疲労学会と患者らでつくる支援団体「CFS支援ネットワーク」(事務局・青森市)が共催。症状の解説や最新の研究報告などもある。
参加費無料で先着200人。予約が必要で、インターネット(http://kokucheese.com/event/index/516180)から申し込める。【宮城裕也】
【ことば】筋痛性脳脊髄(せきずい)炎・慢性疲労症候群
突然原因不明の激しい全身倦怠(けんたい)感に襲われ、睡眠障害や思考力低下、発熱、頭痛、筋肉痛、のどの痛みなどの症状が続き、日常生活を送ることが困難になる。
2015年の厚生労働省が公表した初調査の結果では、患者の3割が寝たきりや、それに近い重症の状態だったことが判明。
この病気は元々は筋痛性脳脊髄炎と呼ばれたが、国際学会が慢性疲労症候群と名付け、現在は両名併記することが多い。