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出典:私たちと子どもたちの未来のために
動物での研究
動物実験では、ダイオキシンにより口腔や鼻腔・甲状腺・肺・肝・副腎に癌が発生することが知られています。
人間での研究
人間の疫学調査では、口腔や鼻腔・胃・肝臓・胆道・脳・甲状腺・卵巣・子宮・精巣・乳房に癌が発生する傾向が見られています。
その他に癌全体数や全消化器癌・肉腫・リンパ腫などの増加も報告されています。
ドイツ癌研究センターのベッチャーらは、1952年から1984年までフェノキシ系除草剤を作っていた工場で、ダイオキシン類に被曝した労働者を調査しました。
1992年末までの追跡調査で年齢を調整した標準化死亡率は全癌で141(約1.4倍)に増加しています。ダイオキシン濃度を275人で測定したところ、最高では2253 ng/kgまでありました。
1998年、ベッチャーらは、一日に体重1 キログラムあたり1ピコグラム (1pg/kg/日)のダイオキシンを摂取すると、1000分の1から100分の1の発癌のリスクが増加すると報告しています(*)。
この癌の推定発生率は米環境保護庁(EPA)の推定より、10倍から100倍ほど高いものになっています。
* Becher H. Steindorf K. Flesch-Janys D., Quantitative cancer risk assessment for dioxins using an occupational cohort. Environmental Health Perspectives. 106 Suppl 2:663-70, 1998
また、ベッチャーら(*)は、ドイツの4工場の全員で2479人を1989年末まで(1工場では1992年末まで)フェノキシ除草剤やその汚染物ダイオキシン被曝と癌死亡率との関連を調べました。
全死亡者は484人で、年齢標準化した全死因による死亡率は101で一般的ドイツ人(100とする)との差は見られませんでした。
しかし、全悪性腫瘍の死亡率は119と上昇しました。
労働者の血液脂肪中のダイオキシン測定によると、2つの工場ではダイオキシン類にひどく汚染されていました。
全癌による死亡率は経過時間とともに増加し、最もダイオキシンで汚染された工場で高かったことが知られています。全工場で死亡率が増加したのは、呼吸器癌 (1.54倍)、頬と咽頭の癌 (2.95倍)、非ホジキンリンパ腫(3.26倍)でした。
* Becher H., Flesch-Janys D., Kauppinen T., Kogevinas M., Steindorf K., Manz, A., Cancer mortality in German male workers exposed to phenoxy herbicides and dioxins [see comments]. Cancer Causes & Control. 7(3):312-21, 1996