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出典:私たちと子どもたちの未来のために
・はじめに
ダイオキシンやホルモンかく乱物質(環境ホルモ)という言葉を聞かない日はありません。
世界各地の野生生物の減少や絶滅、人間では癌の増加や、停留睾丸や尿道下裂の増加、精子数の減少などが報告されています。
社会的側面でも、少年非行や学習障害など子どもたちの未来にとって懸念材料がたくさんあります。
一部の学者は異常行動や犯罪と環境汚染の関連を指摘しています。
化学物質の数
化学物質は日々大量に作られ、その種類も膨大なものです。
今から15年ほど前には600万種を越え、その後も年間約1000種の新しい化学物質が追加されています。
よく使用される化学物質は1万~数万種程度と推定されています。
このような化学物質のほんどは、安全性が十分確認されていません。
分からないことがこわい
私たちは化学物質の安全性を信じがちです。
ダイオキシンなどの化学物質が有害であることが分かると不安になります。
しかし、本当にこわいのはわからないことです。
発癌性や催奇形性がわからずに様々な化学物質を使い、多くの悲惨な結果を招きました。
発癌性などの毒性は現在使われている化学物質の全てで十分に検討されているわけではありません。
人工化学物質の乱用はシックハウス症候群や化学物質過敏症などを引き起こしているといわれています。
安易な薬剤使用
クロルデンが規制される前の年に、シロアリ駆除業者が各地で集中的にクロルデン散布をして回ったという話を聞きます。
クロルデンは数十年間環境中に留まることが知られており、今でも環境を汚染し続けています。現在ではクロルデンは使用はできなくなっていますが、代わりの薬剤によって新たな被害が発生し、問題になっています。
安易な「消毒」という名前で化学物質を環境に放出することにより被害が発生することは避けなければなりません。
化学物質は被害が発生しないと規制されない傾向があります。
早期に規制されたのは急性毒性の強いホリドールなどでした。
ホリドールは水田の集団防除に使われ、近所の人が入院したという話を良く聞きました。
この集団防除によって年間数十人という中毒死者がでました。
今日まで、ダイオキシンが問題になるとダイオキシンにのみ注目し、ホルモンかく乱物質問題が報道されると、問題になったカップ麺にのみ注目し、環境汚染の報道が少なくなると環境への関心は元に戻るということの繰り返しでしたが、問題はダイオキシンやホルモンかく乱物質のみではありません。
人工化学物質と人間とのつきあいで、100年を経た化学物質はほとんどありません。
人間を含む生物が人工化学物質に対する防御・解毒能力を獲得するためには長期間を要し、数世代で人工化学物質に影響を受けにくい体を獲得することは困難です。