着床前の胚に対する農薬の影響 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・生殖への影響
着床前の胚に対する農薬の影響
 
農薬を使うことと不妊や流産・早産・先天異常との関連に着いての報告があるが、住宅地で農薬を使用することによる影響はほとんど分かっていない。
 
米国ウイスコンシン州のマーシュフィールド研究財団のグリーンリーらのグループは、着床前のマウス胚を使って、米国の水質基準値(RfD)の濃度の農薬及び肥料と共に胚を96時間培養し、胚の細胞の死(アポトーシス)や杯盤胞*への発達・胚当たりの細胞数を調べ、次の結果を得た(表)。

この表で○は影響が現れたことを示す。
 
この結果は飲料水の基準程度の濃度で、ほとんどの農薬及び肥料である硝酸アンモニアが培養した胚で発達や細胞数への悪影響、細胞死などを起こすことを示している。

それも今まで調べられてきたよりも早期に、着床前に起こることが発見された。

これは女性が妊娠したと気づくより早い時期に生じていることになる。
 
 筆者らは人間の健康に悪影響がないとされている濃度で、種々の農業用化学物質が胚発達に悪影響を及ぼしていることに注意を喚起している。

不妊の問題を考える場合に考慮する価値があると思われる。
 
この研究以前に、キャビアーズら(2002)は市販除草剤のマウスの胚着床と一腹の子供の数への影響について調べている。

この研究では同様に微量の2,4-Dなどが着床数減少を引き起こすことを報告している。(Cabieres et al. 2002) なお、この研究では濃度が低いほど影響が強く出る、「微量効果」とでも言うべき減少を発見したが、この減少の確認及び意味の考察は今後の研究を待つ必要がある。
 
 

* 杯盤胞 blastocyst:胚発止の一段階。他の動物の胞胚に相当する。

鳥類や魚類などの卵割は動物局付近で起こるので、胞胚もその付近にのみ形成され、動物極で盤状の形を取るのでこの名前が付いている。