・http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/tsuushin/tsuushin_12/pico_169.html#169-4
出典:化学物質問題市民研究会
柔軟剤のにおいに耐えられない!神奈川県が「柔軟剤のにおいの強さの比較調査」をしたが
ここ数年、洗濯の時に使う柔軟剤のにおいが強過ぎて、具合が悪くなるという話をよく聞きます。
化学物質過敏症の人はもちろんですが、そうでない人でもよく聞きます。
とくに、アメリカ製の"ダウニー"という製品のにおいがひどいというのです。
メーカーは米国のP&Gです。
たしかに、人とすれちがった際、服に残る強烈なにおいが鼻をつくのがダウニーのようです。
当会に、最近会員になった方から次のようなメールが届きました。
■強い香料は暴力
私はもともと臭いものが苦手で、タバコ、洗剤、化粧品、甘ったるいお菓子、排気ガス、ペンキ(などの有機溶剤)はできるだけ避けて生活してきました。
ところが、最近、香料の強烈な洗剤や柔軟剤が一気に普及してきて(本当に今年の夏からです)、息ができず困っています。
自宅ですら安全ではない。隣の隣から強烈な香料が飛んできて、その家から20mも離れている一番遠い部屋にいても臭いがただよって、家じゅう汚染されてしまいます。
夜も、風呂場から、またはリビングから、強烈な臭いのシャンプーや芳香剤が流れてきます。
職場では、自分の持ち物(カバン)や着衣にまで臭いをつけてしまいます。
息子は学校(人口密集地)で、私よりもひどい臭いをつけてしまいます。
四六時中、合成香料にさらされていて、健康障害にならないほうがおかしいように思います。
ここ半年くらいで、ひどい臭いの古書が増えてきたため、極力新刊本を買うようにしてきましたが、今日は、地元の本屋でものすごい移り香のものを買わされました。
さっそく電話して、従業員には香料の強い洗剤を使用させないよう、また、本の保管場所で移り香がないよう、対策してほしい旨要求しました。
従業員の香水は禁止しているとのことでしたが、柔軟剤の香料は香水どころの騒ぎではありません。
本当にそこら一帯に臭いを付着させてしまう代物です。
いままでの香料にはなかった成分が入っているに違いありません。このままいけば、うつ病を発症してしまいそうです。香料は本当に暴力です。
■神奈川県が調査し結果を公表
神奈川県が「柔軟剤のにおいの強さの比較調査」を実施し、6月にホームページに発表しました。
1 目的
隣家で使用している外国製柔軟剤の強い臭いで体調を崩したとの相談が寄せられた。
化学物質との因果関係や発生の仕組みについては、未解明の部分が多い状況であるが、化学物質過敏症等の発症に関係する可能性も懸念される。
においの感じ方や、そのにおい物質に対する反応には個人差がかなりある。
そこで、国産及び外国産の柔軟剤のにおいの強さを比較調査し、消費者に情報提供を行う。
2 調査期間
平成23年1月から2月まで
3 調査機関
日本認証サービス株式会社
4 調査内容
(1)調査に使用した商品
洗濯用柔軟剤:15件
〈内訳〉国産:8件(検体1から8) 外国産:7件(検体9から15)
(2)調査内容
柔軟剤の類似度*1、臭気寄与度*2及び臭気指数相当値*3により、においの強さの比較を行う。
*1 類似度:においの質を表す。
9種類の基準ガスに対し、試料のにおいがどの程度類似しているかを0~100で数値化したもの。
値が大きければ(より100に近ければ)基準ガスと類似性が高いとされ、類似性がない場合には0となる。
*2 臭気寄与度:系列別のにおいの強さを表す。におい強度情報と各基準ガスの官能的感度(嗅覚閾値)で補正し、人の鼻での感じ方に近づけたもので、臭気指数相当値でにおいの強さを数値化したもの。
*3 臭気指数相当値:総合的なにおいの強さを表す。におい識別装置で測定したサンプルガスのにおいの強さを臭気指数に相当する値として数値化したもの。
【臭気指数:悪臭防止法で規定された臭気強度の表示方法で、測定したにおいを段階的に希釈して、官能試験により、においが無くなったと判断された時の希釈倍率(臭気濃度)から算出した値】
(3)調査方法
柔軟剤を各々の使用量の目安にあわせて、実際の洗濯時と同じ濃度になるように希釈調整し、臭気分析用のサンプルバッグに希釈溶液1mlを加え、窒素ガスで袋内を置換した後、室温で約40分間静置した。
袋内のガスのにおいについて、島津製作所製におい識別装置FF-2Aを用いて60秒間捕集し、測定を実施した。
結果の解析は、装置付属の解析ソフトを用いて、基準ガスに対する類似度、臭気寄与度及び臭気指数相当値を算出し、検体間の比較を行った。
においの系統は、硫化水素、硫黄系、アンモニア、アミン系、有機酸系、アルデヒド系、エステル系、芳香族系、炭化水素系の9系統とした。
5 調査結果
(1)類似度
におい系統として、硫黄系、アルデヒド系、エステル系、芳香族系、炭化水素系では、検体間に大きな差異が見られた。
(2)臭気寄与度
全体的に、各におい系統の臭気寄与度は、検体間の差異が大きかった。
(3)臭気指数相当値(下図参照)
臭気指数相当値が一番大きかった検体には「香りが強いタイプ」の表記、また臭気指数相当値が一番小さかった検体には「微香タイプ」と記載があったが、全体的に大きな差異は見られなかった。
今回の調査では、臭気指数相当値が最大の製品及び最小の製品はいずれも国産の製品であり、特に外国産が強いにおいであるという結果にはならなかった。