8:ネオニコチノイド:イミダクロプリド | 化学物質過敏症 runのブログ

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7.神経系への影響
胎児期の被ばく
胎児期は化学物質被ばくに非常に敏感な時期であることが、有機リンを初めとする多くの化学物質について知られている。
Abou-Donia et al. (2008)はイミダクロプリド子宮内被ばく後の子孫に対する神経影響を調べた。母親にイミダクロプリドを投与した子孫ラットは行動評価で感覚運動障害を示した。

この障害は中脳や皮質、脳幹および血漿のアセチルコリンエステラーゼ活性 (125-145%増加)を伴っていた。

ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は有意な変化を示さないが、ムスカリン性アセチルコリン受容体の 1 種は投与された子孫の大脳皮質で有意な増加を示した。

ニッスル染色では形態学的な変化を認めなかったが、グリア線維酸性タンパク質 GFAP 免疫染色は運動皮質Ⅲ層や CA1、CA3、歯状回で増加した。

以上の結果は致死量でないイミダクロプリドに妊娠中に被ばくすると、神経行動異常が生じ、グリア線維酸性タンパクの発現が人間の思春期初期に相当する生後 30 日のラットで増加することを示す。
さらに神経系の発達中に甲状腺ホルモンが重要である事は良く知られている。

これに関しては次に述べる子宮内でイミダクロプリドに被ばくしたラットで、感覚運動障害が見られる。

グリア繊維酸性タンパク発現異常も見られる


8.甲状腺への影響
イミダクロプリドは甲状腺に影響を与える。

特にラットの甲状腺は他の指標よりも敏感に影響を受けることが知られている。

甲状腺ホルモンは身体の代謝調節や発達途中の神経系に重要である事が知られている。
ラットの慢性毒性試験で 300 mg/kg 以上のイミダクロプリドを投与した場合、甲状腺濾ろ胞中のコロイドに鉱物質の沈着物が見られている(食品安全委員会 2007, EPA 2008)。
この鉱物質沈着物はイミダクロプリドが選択的に甲状腺コロイド中に存在し、コロイドを凝集させ、好塩基性にしたものと思われる。

.凝集することで濾胞細胞が有機ヨウ素の取り込みを減らし、このことにより甲状腺ホルモン産生を低下させると思われる。

しかし、甲状腺ホルモン(T 3, T 4)や甲状腺刺激ホルモン(TSH)は測定されていない(EPA 2008)。
甲状腺には様々な物質が影響を与える。良く知られているのは PCB であるが、その他にポリ臭化ビフェニルエーテル、エチレンビスジチオカーバメート(農薬)、ダイオキシン、過塩素酸なども良く知られている(例えば Brown 2003, Talsness et al. 2009)。

このように普遍的にといっても良いほど分布している甲状腺機能を妨害する物質群に、さらにイミダクロプリドを加える事は十分警戒すべきことである。
イミダクロプリドは甲状腺機能を妨害することが知られている