食品残留・汚染
GM 作物のグリホサート汚染遺伝子組換え大豆ノルウェイの Bohn (2014)らの研究チームは米国アイオワ州の大豆の栄養や元素組成、除草剤、農薬を調べた。
大豆は(1)グリホサート耐性遺伝子組換え(=ラウンドアップ・レディ)大豆と(2)通常の化学農法で栽培された非組み換え大豆、(3)有機農法で育てられた非組み換え大豆の 3 種類に分けた。
遺伝子組換え大豆はグリホサートおよびその主な代謝物アミノメチルリン酸の残留が多かった。
有機大豆は遺伝子組換えグリホサート処理大豆や通常の大豆よりグルコースやフラクトース、蔗糖、マルトースが多く、全タンパクや亜鉛が多く、繊維が少なかった。
有機大豆は別の 2 グループの大豆より全飽和脂肪酸やオメガ-6 脂肪酸が少なかった。
有機大豆と通常栽培大豆には農薬残留が見られなかった。
彼らの研究はグリホサート耐性大豆と通常栽培大豆、有機大豆を、栄養組成やグリホサート残留物を基準として、例外なく区別できるとした。
IARC(2015)がグリホサートをグループ 2A(ヒトにおそらく発がん性のある物質)に分類し、グリホサート残留物が遺伝子組換え大豆から検出されるので、遺伝子組換え大豆あるいはその加工品がどの程度市販されているかどうかが気になる。
門間ら(2000)はグリホサート耐性遺伝子の存在を、1998年 10 月から 1999 年 8 月に小売店から入手した国産大豆や、1999 年 6 月から 7 月に入手した豆腐、1999 年 7 月に入手した輸入大豆を調べた。
この調査で、国産やカナダ、中国からのダイズおよび米国の有機ダイズや遺伝子組換えダイズを選別した大豆からはグリホサート耐性遺伝子は検出されなかったが、米国の遺伝子組換えグリホサート耐性ダイズや選別をしなかったダイズから耐性遺伝子が検出された。
ダイズ製品である豆腐中のグリホサート耐性遺伝子の分布も気がかりである。
門間ら(2000)は 66 の豆腐検体の 16 検体(24.2%)から耐性遺伝子を検出し、充てん豆腐から高い割合(50.0%)で検出した。
この理由は「採油用のダイズには米国産が多く使用されているが、採油後の脱脂ダイズは充てん豆腐などの食用に利用される場合がある。充てん豆腐でグリホサート耐性遺伝子の検知比率が高かった理由としては、米国産の脱脂ダイズを原料とする製品が多い事によるものと考えられた」。
Rubio et al. (2014)はフィラデルフィアで購入した醤油中のグリホサート分析をした。
検査した醤油の 36%で定量下限より多いグリホサートが検出された。
ただし有機醤油からグリホサートは検出されなかった。
・蜂蜜の汚染
グリホサートを直接散布されるラウンドアップ・レディ作物からグリホサートが検出されるのは当然かもしれないが、あまり関連がないと思われる蜂蜜からグリホサートを検出したという報告がある。
Rubio et al. (2014)はフィラデルフィアで購入した蜂蜜やパンケーキ、コーンシロップ、醤油、豆乳、豆腐のグリホサートを分析した。
定量下限より多いグリホサートはパンケーキやコーンシロップ。
豆乳、豆腐では検出されなかった。蜂蜜 67 サンプル中で、41 サンプル(45%)に定量下限より多いグリホサートが検出され、濃度範囲は 17 ppb から 163 ppb(平均 64 ppb)であった。
有機製品とされていた蜂蜜にもグリホサートを定量下限より多く含む製品があった(45%)が、通常の蜂蜜の方が多く(62%)、その平均濃度も高かった。
グリホサート濃度は遺伝子組換え作物を認めている国の蜂蜜が認めていない国の蜂蜜より高い傾向があった。