2:ネオニコチノイド | 化学物質過敏症 runのブログ

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・ネオニコチノイド

人間の中毒例
 
イミダクロプリドは、昆虫と比較してほ乳類ではニコチン性アセチルコリン受容体への親和性が弱いため、比較的毒性が弱いとされている。

広く使われているが、人間の被ばく事例報告は少ない。
 
9.7%のイミダクロプリドと2%以下の表面活性剤、溶剤としてN-メチルピロリドンを含む製剤を飲んだ事例がある。

臨床症状は、眠気及び混迷、めまい、口と食道・胃のびらん、胃の出血、痰の絡んで咳、発熱、白血球増加、高血糖が見られた。

この患者は摂取4日後退院した。

この症状の一部は不活性成分であるN-メチルピロリドンによるものかもしれない [2]。
 
シックハウス症候群
 
日本人女性の例である。

シロアリ駆除のために床下にハチクサンFLを撒布した。

散布日から室内で刺激臭を感じ、3日後より顔面から前胸部にかけて瀰漫性淡紅色斑及びまぶたの腫脹が生じた。

心悸亢進や不安感もを生じるようになった。

使用したシロアリ駆除剤,などのパッチテストは48時間後、72時間後ともに陰性であった。

心理的治療を行い、シロアリ駆除剤との接触を断つことにより症状は軽快した。

1ヵ月後,シロアリ駆除剤の異臭は消失し、心悸亢進や紅斑は消失した。

この症例はシロアリ駆除剤によるシックハウス症候群であったと診断した [3]。
 
ハチクサンFLは有効成分としてイミダクロプリドを含み、その他界面活性剤等からなるシロアリ駆除剤である。
 
亜急性毒性
 
チアクロプリドの90日間の亜急性投与実験で、ラットの雄(28.6 mg/kg/日)と雌(35.6 mg/kg/日)で体重減少が観られた。[9]
 
マウスの雌(27.2 mg/kg/日)でマウス副腎に特有なX帯の変化が見られ、雄では542.4 mg/kgで肝臓の肥大が観られた。[9]
 
慢性毒性
 
長期間餌にイミダクロプリドを混ぜてラットに投与した実験では、甲状腺に影響が見られた。

甲状腺に対する障害は17 mg/kg/日で見られた。

やや高い投与量では体重増加減少が、高い投与量では網膜の萎縮が 100 mg/kg/日で見られた [6]。
 
チアクロプリドの慢性投与によりラットの雄(2.5 mg/kg/日)で肝臓の肥大と細胞質の変化及び酵素活性亢進、甲状腺濾胞の肥大が観られ、雌(3.3 mg/kg/日)で眼の毒性(網膜萎縮)が見られた。[9]
 
チアクロプリドの発癌性は雄(甲状腺濾胞細胞腺腫)で見られ、雌でも子宮癌(腺癌)の発生率が増加した。[9]
 
チアクロプリド投与により雄(234.1mg/kg/日)と雌(475.3 mg/kg/日)でリンパ節の変化と雌で副腎X帯の空胞の増加が見られた。[9]
 
チアクロプリド投与により黄体腫(卵巣腫)の発生率増加が見られた。[9]
 
 
神経系への影響
 
イミダクロプリドの中から多量投与で、振戦、瞳孔機能障害、低体温などのニコチン類似の影響が見られる [1]。

血液脳関門を通過しにくいので、中枢への影響は少ない [1]。

また、ニコチン類似の影響として、疲労や引きつり、けいれん、呼吸筋を含む筋の脱力などが想定されている [4]。

ネオニコチノイド又はイミン代謝物の少量が血液脳関門を通り、ニコチン性アセチルコリン受容体の一部のと結合し、有毒影響を示す [1]。
 
 
生殖への影響
 
イミダクロプリドは、妊娠したウサギに投与すると流産の増加と、異常な骨格を持つ子供の数を増加させた [6]。
 
ラットの二世代研究で、イミダクロプリドを投与すると、子どもが小さかった [6]。
 
 
受容体の増加
 
マウス由来の培養線維芽細胞を3日間ネオニコチノイド(イミダクロプリドやチアクロプリド)に曝すと、ニコチン性アセチルコリン受容体が5-8倍に増加することが報告されている。

これらのネオニコチノイド代謝物も受容体を増加させる。

受容体を増加させる力は、受容体との結合する力と相関する。

人間の被ばくやイヌのノミ駆除に使用した場合に、受容体の増加が起こると思われる [5]。