・http://www.maroon.dti.ne.jp/bandaikw/
出典:私たちと子どもたちの未来のために
・農薬の性ホルモン受容体への影響
農薬がホルモンの働きに影響を与えること(内分泌かく乱)はいくつかの報告で報告されている(例えばフェニトロチオン)。
しかし、検査方法が研究によってまちまちであり、研究相互及び農薬相互間の比較は困難であった。
内分泌かく乱物質(ほぼ環境ホルモンと同じ)は、ホルモンの受容体に影響を及ぼすことによって作用を発揮する場合がある。
ホルモンが受容体に影響を及ぼし、次に受容体から細胞内信号伝達系を介してDNAの転写活性に影響を及す。
この結果、特定のタンパク質などの合成が引き起こされる。
北海道立衛生研究所のKojimaらは、エストロゲン及びアンドロゲンの受容体に対する200種類という多数の農薬の影響を調べるという精力的な研究を行った。
彼らはチャイニーズハムスター卵巣細胞に人間のエストロゲン受容体(ER)及びアンドロゲン受容体(AR)を組み込み、200種類の農薬に対する受容体の反応をリポータージーンアッセイを用いて調べた。
エストロゲン受容体(ER)には古典的なα(アルファ)受容体(ERα)と、最近発見されたβ(ベータ)受容体がある。
ERαはエストラジオールなど女性ホルモンに高い親和性を示すが、ERβはゲニスタインやアルキルフェノールなどといったいわゆるホルモンかく乱物質に高い親和性を示すとされている。
彼らは2種類の受容体のそれぞれに対する影響も調べた。
彼らの結果は多数の農薬が性ホルモン受容体に影響を及ぼすことを示し、農薬の内分泌かく乱作用のスクリーニングとして重要な結果を示した。
このように多くの農薬が性ホルモン受容体に影響を与えることは、注目に値する。
農薬が性ホルモン受容体に影響を与えることと、動物でその影響が直接現れることとは同じではないが、スクリーニングとしての意味は大きく、又農薬毒性を見当する場合に注意する必要があるだろう。