(5) 神経学的検査 被験者に対して以下の神経眼科学的検査を施行、評価した。
a. 眼球運動検査
本態性多種化学物質過敏状態を有する集団では、核下性麻痺を訴え複視を示す例は殆ど認めず、眼位の変化は生じにくい。
しかし、高率に中枢性または核上性眼球運動障害を認めることがこれまでに報告されている。
眼球運動には急速に動く衝撃性眼球運動(saccadic movement) とゆっくり動く滑動性眼球追従運動(smooth pursuit movement)があり、本態性多種化学物質過敏状態では眼球運動異常を認め、それは核上性変化が中心となる。
両眼の黄斑部を時々刻々刺激することにより両眼が同時に追従を行いスムーズに動くのが健常者である。
この際、異常があったとしても、首を水平または垂直に動かして前庭神経の関与を行なって誘発される前庭動眼反射は、多くの場合正常である。
この系の障害が高度になると注視麻痺に至る。 今回の評価では、光学的な眼球運動記録装置により判定した。
刺激としてはCRT画面上に水平方向あるいは垂直方向へ指標を振子のように動かし、目標物の動きを追いかける両眼の滑動性追従運動を眼球電位図(EOG)を用いて記録、評価した。
a-1.眼球運動測定装置:測定に用いた眼球運動測定装置について
今回使用した眼球運動装置は、光電素子眼球運動記録法の機器IOTA AB社(スウェーデン) 製oberⅡである。
振幅±20°周波数0.4Hzの正弦波で追従性眼球運動の測定を行った。
追従性眼球運動測定とは、ある視標に対して眼球が追従可能かどうかを評価する検査である。
この測定から得られた波形を図1と図2 に示した。 図 1 は視標に追従可能な健常者の波形で、図 2 は視標に追従不可能な例の典型波形(異常波 形)で、本症の代表波形である。
今回使用した眼球運動装置は、光電素子眼球運動記録法の機器IOTA AB社(スウ ェーデン)製oberⅡである。
振幅±20°周波数0.4Hzの正弦波で追従性眼球運動の測定を行った。
追従性眼球運動測定とは、ある視標に対して眼球が追従可能か どうかを評価する検査である。 この測定から得られた波形を図1と図2 に示した。
runより:図表は全て専門的過ぎるので省略しました。