Ⅲ.調査の範囲
ジイソシアネート(またはイソシアネートとしても一般的に知られている)は、非常に反応性があり、多用途の化学物質であって、広範囲の営業用品と消費者使用製品がある。
ジイソシアネートの市場の90%以上は、MDIとTDIという2つのジイソシアネート、およびそれらの関連したポリイソシアネートが突出している。(Allport et al.,2003)。
ジイソシアネートは特有な性質および機能的な汎用性があり、遊離したイソシアネート官能基(-N=C=O)をもっている。
イソシアネートが、遊離したヒドロキシ感応基(すなわち?OH)を含む他の合成物と結合すると、それらは反応してポリウレタン・ポリマーを形成し始める。
この化学反応は、初めには遊離していた?N=C=Oグループの全てがポリマー・ネットワークの中で結合すると完了する。
このプロセスは一般的に「硬化」と呼ばれる。
遊離した?N=C=Oグループを含む製品は、使用の時に、反応して、「硬化する」ことを目指す。
一例として、接着剤を挙げると、販売当初は、硬化されていない形で使われ、それが硬化することで、二個の木片が一つに接着する 。
マットレス、枕、ボーリングボールなどのような他のポリウレタン製品は、それらが販売される以前に、完全に硬化している製品だと考えられる。
完全に硬化した製品は、反応が完了しているので、不活性で、無毒であると考えられている(Krobe & Klinger, 2005)。
つまりこの行動計画は反応を起こしていない未硬化製品について考えることに焦点を絞っている。
TDIとその関連したポリイソシアネート(付録1を参照)はその反応性と用途の多様性のため、応用範囲を広げ変わったポリウレタンを作るために、他の化合物と結びつけてジイソシアネートの優れた化学反応を起こすように、普通はメーカーによって調合された原材料として供給される。
この応用性の広さはまた、ジイソシアネートの暴露が、小さい店からオートメーション化した生産ラインまでの広い生産施設で起こり得ることを意味する。
ジイソシアネートは、皮膚および肺を過敏にする強力なものであり、また世界中で職業喘息主な原因である(国立労働安全衛生研究所NIOSH、2006)。
ジイソシアネートは、建設、自動車など、他の類似した製品(これらの製品の機能的な性能の一部として最終用途反応を必要とする)において広く使われる調合製品の一部として、反応していない形でも一般に利用されている。
制御された生産施設の範囲を超えておこなわれる、このような応用に当たっては、保護具の使用、封じ込め、換気、適切な清掃実施、および暴露の可能性あるすべての人の医学的監視を含んだ暴露抑制の管理と、最善の実行を注意深く見守っていなければ暴露を引き起こす可能性がある。
過去において、一般に消費者はふつう不活性で無毒の硬化したポリウレタンを含む製品に接している可能性があるが、ジイソシアネートについて、その暴露は注目されてこなかった(Krone & Klinger,2005)。
しかし使用中に更に反応が進行することを目標としたものや、硬化が進行中の製品を、消費者がマーケットで買える可能性が増えてきた(消費者/一般人暴露 に関する部分の追加の議論を参照)。
たとえば、使ったときに完全には反応しないTDI成分を含んでいそうな接着封止材のような消費者製品があり、そのような製品を直接使う消費者と他人が使っている傍の人に暴露させる可能性がある(Krone,2004;Bellow et al., 2007)。
更にある種の作業者(例えば自営業者)はOHSHAの暴露限界が適用されていない。
また、健康と安全の訓練と化学物質の危険情報や個人用保護具(PPE)の装着を法律で要求されていないので、硬化しないポリウレタン製品に過剰に暴露されている可能性もある。
EPAは、消費者の周りで使われている製品中の硬化していないTDIの存在や、他の保護されないビルディングの居住者について、彼らを保護する指導と取締りを考えた。
この行動計画は、消費者や自営業者が硬化しないTDIを含む製品を使ったときの暴露から、もしくはそのような製品を家や学校やビルディングの周りで使ったときに一般の人たちが偶然暴露したときに引き起こされるかもしれない健康への影響に焦点を絞った。