2:健康を守るために知ろう「イソシアネート」 | 化学物質過敏症 runのブログ

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・実際の被害例は?
 自宅や近所の工事で重症になって転地しなければならなかった人の例は沢山あります。

過敏になってしまったので(免疫的に感作)、その後はいつまでも少しの環境汚染でも苦しい体になってしまっています。

トンネルの工事や室内塗装工事で死亡した例もあります。

新しい家具付属の組立て用接着剤で重症の喘息発症の例もあります。

乾燥機つき自動洗濯機の断熱材加熱で発症したので、新品が役に立たなかった例もあります。
しかし多くの場合、原因が突き止められずに個人的な発病だろと対処してもらえない発病者が殆どではないでしょうか。

有名な事件ですが、雨漏りの修理をした後で多数が苦しんだシックスクールでも、分析しても原因が分からないでうやむやに捨て置かれています。
イソシアネートはそれを使っていることが明白な工場などでは特別薄い濃度を保つように労働環境の勧告がありますが、一般の環境では規制された物質ではありません。

分析技術としても、一般大気分析の方法では検出できず、特別な道具を使った特別な方法でないと調べられないので、普通は無視されて、有害汚染は何も無かった、被害を主張するのは間違いだ、と放置されてしまうのです。
また、調査する分析の専門家でもそうなのですから、一般の人が気付きようもありません。

そうしているうちに、身の周りにじわじわと用途と開発が広がったイソシアネートが取り巻くようになってしまいました。

平成5年から最近まで、イソシアネートを利用する新技術の特許が、何と6万5千件も公開されているのです[4]。
イソシアネートは、塗料や接着剤、防水工事では現場でモノマーのまま使います。

有機溶媒の1万倍、ホルムアルデヒドや毒ガスのホスゲン、シアンガスよりも薄くて毒なのですから、モノマーで使う現場の周辺では発病し易いでしょう。高分子化して塊に見えても、その中では高分子になり損ねた小さい分子が残っていて悪影響が無視出来ません。

その上、固まりになっても少し温度が上がると高分子の繋がりがほどけて低分子になって空気中に出てくるのです。動かして表面が擦れると、細かい粉塵とガス状の物質も発生します。

火災などの高熱では、イソシアネートの高分子・ウレタンからはシアンガスも出て、火傷がなくとも死ぬ人が少なくありません。なにしろ、一酸化炭素の有害濃度よりも1万分の1の濃度で有害なのですから、・・・・・。(図2)。


米国・国立労働安全衛生研究所(NIOSH)ではイソシアネートについて沢山の解説文書を発行していますが、固体になってさえも有害なことや、作業者の発症率が極めて高いことを注意していました。

カナダのオンタリオ州の労働災害防止法で10種類の物質規制を図っていますが、水銀、アスベスト等5種の無機化合物とともに、イソシアネート、アクリルニトリル、塩化ビニルなど5種のみの有機化合物が対象に上がっています。
対策は?
 窒素と炭素と水素だけの化合物です。

NOx対策と温度・送風管理をした焼却炉で処理することが唯一の対策です。

不用意なリサイクル作業は危険極まりないことです。 


[1] 有機化合物:もともとは生物の体が作った化合物の意味であったが、今では人工的に作ることが出来るものもあるので、もともとの有機化合物のように炭化-水素結合が基盤であった炭素化合物を言う。炭素化合物にも、炭素-水素結合と無縁の炭酸ガス、四塩化炭素、2硫化炭素、炭化珪素など、無機化合物もある。
[2] アスファルトは、もともとは石油精製の後の残った揮発しにくい天然の成分。
[3] セメントは、もともとは石灰石・粘土・酸化鉄を焼成した粉末。コンクリートやモルタルの主原料。
[4] イソシアネートおよびウレタン利用特許調査は、特許庁電子図書館で検索調査。