46:2005年3月 デンマークEPAの報告書多種化学物質過敏症 MCS | 化学物質過敏症 runのブログ

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・8.3.4 結論と勧告

 MCSに関する知識が欠如しており、またこの病気に関する定義と認知に関連するいくつかの疑問が未だに解決されていないために、現在、当局と医療介護システムがこの問題に取組むとができないという困難にMCS患者たちは直面している。MCS患者たちは、既存の保健介護行政からの支援が十分ではなく、彼等の症状は医療疾病として認知されていないので、社会福祉部門からの支援も得ることができない。

多くの患者たちは屋外で、あるいは公共の建物の中で問題が発生するが、それは彼等がこれらの場所で体調を悪くする匂いに曝露するからである。

 デンマークのMCSのよく知られた症例のほとんどは、産業医及びいくらかの耳鼻咽喉科の医師らによって記述されており、ほとんどが職場での曝露によって起きている。

職場での化学物質への曝露のリスクは以前に比べて今日では小さくなっているが、それでも高濃度の化学物質に曝露するリスクはやはり存在する(例えば、事故や不測の漏洩などの場合)。そして職場における室内環境が悪いことによる影響が未だに問題を生じている。

 建材のラベル表示が、長い間には多分、屋内環境に、従ってMCSの発症数の削減によい影響を与えてきた。個人の家庭や職場以外での化学物質への曝露の問題の程度は不明である。

 匂い過敏症の人々に加えて多くのデンマーク人たちは、消費者製品に加えられている副次的香料(不必要な化学物質)に悩まされている。

これらの製品に含まれる化学物質の成分が不明であるという事実に加えて、消費者はまた、例えばドライ・クリーニングされた衣服のように予想もしないような化学物質に曝露する危険性がある。

 デンマークEPA、国家保健委員会、デンマーク労働環境機関、そして国立労働衛生研究所は、特別の場合を除いてMCSに対応していないが、それはMCSの定義が難しいことと、そのような現象の存在に関する多くの異なる認識のためである。

 MCSに対する将来の取り組みのベースを定義することが重要である。

純粋に医学的考慮に基づくのか(MCSの客観的証明)、又は、たとえ病気が認知されなくても、MCSは社会的な懸念になっているのか? デンマークとは異なるアメリカやカナダのMCSに対する態度によって、問題は、ある程度、説明できるかもしれない。

 衛生及び健康の観点からは、当局による予防措置のためのよい議論であるように見える。全ての関係者の共同の取り組みを通じてこそ最良の解決が得られるはずである。


 MCS症状の進展を削減するために注力すべき最も重要で当然なことは:
比較的高濃度の化学物質に曝露するリスクを削減すること 
低濃度の化学的匂いを制限すること 
 そのような取り組みは公共の建物と個人の家のより清浄で健康的な屋内環境を作り出すであろう。

この取組みを強化することで化学物質の放散を削減し、そのことはMCSの進展を制限し、MCSの人々のためになるであろう。

 すでに低濃度である化学物質の削減は、MCS患者の症状を軽減することで患者のためになることが期待されるので、MCSの引き金段階に関連する特別の環境には特に注意を払うべきである。

 この文脈に見られるように、環境当局は新たな予防的戦略を用いるべきである。

化学物質への曝露が一般的に低減していることも、現在の化学物質有害影響評価に加えられるべきである(現在はMCSへの影響は含まれていない)。

 MCSの防止に関し、人々は一般に、化学物質の使用、特に家庭及び個人用途における ”匂い” について知見を高め、自分で選択の意思決定をすることが重要である。

市民による個人の参加を通じてのみ、公共の環境で不必要な匂いを削減することが可能である。

 市民がその役割を果たすことを可能にするための情報の流布と議論の喚起が求められる。ある人々には、選択する前に、香水に耐えられない人々がいるということを明確に知らせるべきである。

カナダにおける環境当局と市民の共同の取り組みは、8.1.1 項に述べられている。
 予防的取り組みについての新たな考え方の同様な要求が消費者製品に加えられている匂いにも適用される。9.3 勧告 を参照のこと。

 予防的取り組みに関する同様な考慮が健康と職場環境の分野にも適用される。

いくつかの分野の活動が、他の分野の活動も関与させながら、計画と実施の調整を図ることで、相互に利益を得ることになる。