37:2005年3月 デンマークEPAの報告書多種化学物質過敏症 MCS | 化学物質過敏症 runのブログ

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6.6 臨床環境医学に基づく病気のモデル

このモデルはある概念と定義を用いるが、それらはほとんどの科学者と研究者にはよく知られておらず、通常、彼等の研究には使用されない。臨床環境医師らはこのモデルと概念をMCSやその他の環境病の背後にある原因論のより良い理解を提供するものと見なしている(Rea, 1992)。

 全体論的(holistic)思考に立つMCSを含む環境病の病気モデルによれば、過敏性の人々の多くの病気は、体の生物学的システムのひとつあるいはそれ以上の機能不全に基づいている。

”環境刺激(environmental stressor)”に対する防御反応の一部として、解毒のひとつの形として記述される不均衡が体内のホメオシスタス(訳注:homeostasis 生物体が体内環境を一定範囲に保つはたらき)に生じ、身体の器官から反応が起きる。

不均衡の機序は防御酵素システム又はビタミン、微量元素(訳注:生物にとって微量であるが必須な金属類)等の欠乏によって引き起こされる。器官からの反応が症状を生成する。

防御機序はいくつかの側面を持ち、個人の感受性、応答のパターン、及び、器官の適応に基づいている(AAEM, 1992)(Annex A の環境病の定義を参照のこと)。

 このモデルを記述するために下記の概念が用いられる。

全負荷
所定の時間、人が曝露する全外部環境”刺激”の合計。
適応
ヒトの体がホメオシスタスを保とうとするはたらき。
適応不全 
後天的/遺伝的要素により、身体の生物学的機序に過負荷がかかり、多分、弱体化されて、ホメオシスタスを維持できなくなる。

結果として病気になる。
適応復帰
身体が過負荷の原因物質を中和/除去できる時に、適応不全が適応に復帰する。
二極応答
外部環境要素によって引き起こされる刺激-非刺激として表現される身体の動的なニ段階応答が、なぜ応答のパターンの変化が環境症候群中に見られるのかを説明する。 
拡散現象
以前には反応のなかった新たな器官において、同じく以前には急性症状-慢性過敏症の進展を起こさなかった物質によって、急性-慢性の過敏症が進展すること(適応不全を参照)。
転移」現象
ひとつの器官から他の器官への症状の転移。
個人感受性
ひとつの物質に過敏な人々のグループの中で、個人が反応し自身のやり方で症状を表現する。

グループの人々によって示された同じ症状が異なる原因を持つ。(各自は自分が過敏となる物質の個人”リスト”を持つ)。
刺激(Incitant)
アレルギーと非特定過敏性に関する引き金物質又は症状の原因。
環境刺激
過敏性の人のホメオシスタスを不安定にするそれぞれの物質又は刺激。
ホメオシスタス
全ての身体機能が相互バランスの状態にある。

 臨床環境医師による調査と研究の全ての記述は上記にリストされた原則に基づく。病気は非常に特定な器官と酵素の機能及び代謝プロセス(例えば、グルタチオン代謝)の測定によって、及び、様々な微量元素の欠乏によって文書化される。

そのような測定の正確な標準値は一般臨床医学には存在しない。

 ロストクにあるアンビュランツ(環境医学病の診断治療センター)の部長であるククリンスキー博士(2001)は、ほとんどの医師は上述の事実についての知識がなく、従って、MCSのような病気を診断することができないという意見である。

 全体論的(holistic)病気モデルが病気の原因論中に含まれている心理学的要素の可能性を含んでいないということは驚くべきことである。