28:2005年3月 デンマークEPAの報告書多種化学物質過敏症 MCS | 化学物質過敏症 runのブログ

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・6 病気の原因と機序

 MCSの背後にある病気の機序についての研究は4つの主要なカテゴリーに注がれた。

3つの生理学的なものと、1つの心理学的なものである。

  1.免疫学的機序
  2.鼻の粘膜中の機序
  3.神経学的機序
  4.心理学的機序

 他の仮説は新たな病気の概念に基づくものであり:

  5.毒性誘因耐性消失(TILT) 

 そして最後に、アメリカ環境医学会(AAEM)により提案された

  6.臨床環境医学の病気モデル

 これらの全ての機序は、現在もまだ議論されている。

病因についての最も重要な研究成果と議論を下記に示す。

6.1 免疫学的機序

 免疫学的機序は最もよく引用されるMCSの生理学的な病気の機序である。アメリカの臨床環境医師らは特にこの機序を好むようである。

アメリカ環境医学会(AAEM)の理論に基づいて活動するレア(1992)を含む何人かは、MCSの原因は化学物質をきっかけとして引き起こされる免疫系の混乱であり、それは体の他の機能に影響を与えるものであると示唆している。このことの例は、免疫系と神経内分泌系(6.3節 神経系機序を参照)間の相互作用を挙げることができる(Meggs, 1992; Levin, 1992)。

他の人たちは免疫学的反応と炎症性作用間の類似性を認め、したがって、この2つの機序の重なる部分がMCSに関与していると提案した(Meggs, 1992)。

 これらの仮説は証明されていない。

MCSが超過敏性の病気として初めて記述されて以来、多くの人々が古典的な免疫反応の中からMCSに典型な免疫反応を探そうと試みた。

他の人々はMCSに特定な免疫学的バイオマーカーを検出しようと試みた。

5000以上の免疫学的テストを実施したレア(1992)とエコ健康センターの同僚らは、MCS患者のためだけではないが、MCSとよく関連性がある多くの結果を発表した。

彼等は白血球細胞の特別の小グループ、活性白血球細胞の特別な断片、体自身の細胞に対する異常な抗体、そしてたんぱく質に固められた化学物質からなる新たな化合物を発見した。

他の科学者たちはレアらの発見を再現することができなかった。

彼等は、これは研究方法の相違、及び blinding principle と再現性に関する特定の要求の相違のためであるとした。

 このようにして、免疫系への影響の明確なパターンがMCSに関連して存在するということは示されなかった(Terr, 1986; Simon, 1993)。調査方法と品質管理に関する大きな相違が、レアらのグループと他のグループの結果の食い違いをもたらしたと考えられる。方法と品質に関する要求が厳密な場合には、免疫学的パラメーターの中から病気の兆候を発見することはできなかった。

 サイモン(1993)はMCS患者とコントロール・グループの注意深く計画された調査におけるバイオマーカーとしての免疫学的テストの適用可能性を評価した(バイオマーカーについては第7章参照)。特別の実験室で臨床環境医師らによるテストが実施された。そのテストからはMCSの人々を特定することはできなかった。この実験室における同じ目隠し血液サンプルによるダブルチェックで矛盾する結果が得られた(Simon 1993; Friedmann 1994)。

 マルゴリックと彼の同僚等も同じ結果を得た(Mitchell, 2001)。