・3.3 ヨーロッパの活動
3.3.1 EU 環境総局報告書 1996
国際専門家グループは、欧州委員会の環境総局(DG Environment)から化学物質過敏症に関する状況を、特にデンマーク、ドイツ、スウェーデン、ノルウェー、ベルギー、オランダ、イギリス、ギリシャを含む選択された諸国について調査するよう要請された(European report, 1994)。
報告書”選択されたヨーロッパ諸国における化学物質過敏症:予備調査”がデンマーク、ドイツ、ギリシャ、及びアメリカからの11人の科学者によって作成された。主著者はアシュフォード(N. Ashford)であり、ミラー( Miller)とともに”化学物質曝露”を書いた人である。
9か国からの代表者に示された調査のコンセプトと質問票の形式は、当時のアメリカで考えられていた方法に基づいている。
当時、ほとんどのヨーロッパ人にとって、この方法は不慣れであった。報告書は承認されず、公式には環境総局から発行されなかった。
報告書は、各国の1人の中心人物が自国から収集した情報に基づいて作成された。
各国からの情報は同一の質問に対する回答からなっており、これらは、曝露、患者からの情報、関連調査研究、及び将来の計画の下にグループ分けすることができる。
その結果は、ヨーロッパ諸国の無計画で多様な状況を表しており、お互いを比較することはできないほどのものである。
これは資料を収集した方法に問題があったためである。質問はアメリカでの経験と知見、すなわち、可能性ある原因仮説と目標グループに基づいていた。
質問は誤解されたかも知れず、又は不適切な人々に向けられたかもしれない。
報告書は、それぞれの国が曝露と病気のはっきりしたタイプを持った”独自”のMCS症例を持っているが、MCS様状態は全てのヨーロッパ諸国で起きていることを示している。
デンマークは多分MCSと同様な病気の診断と化学物質曝露を持っていると言われている。
この報告書からのいくつかの情報は第4章に示されている。