化学物質過敏症患者の日常生活中の症状プロフィール3 | 化学物質過敏症 runのブログ

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【結果】 患者群の 14 名中 11 名で DSM-IV のⅠ軸の精神疾患を合併していたが、コントロー ル群では合併は認められなかった。

AS-PS 法にて患者群の 14 名中 11 名で数種類の症 状を引き起こす可能性のある化学物質を特定できた。

特定できなかったうちの 2 人は 測定期間中に症状を起こすようなエピソードがなかったが、PS 法で測定した化学物 質暴露量はコントロール群よりも低かった。

もう 1 人は症状は出現したが、症状を引 き起こす可能性のある化学物質は特定できなかったため、解析から除外した。

17 の身 体症状のうち 11 の症状と感情状態の 4 症状が症状出現時(patient-initiated symptom prompts)に有意に悪化していた。

一方、身体症状、感情状態ともに MCS 患者群の無 症状時(random prompts)とコントロール群とでは有意差を認めた項目はなかった。 

心拍変動ではスペクトル指数βにおいて MCS 患者群とコントロール群の群間での主 効果に有意差が認められた。

これは MCS 患者群の R-R 間隔がコントロール群と比較 して複雑さが少ないことを意味する。 

・【考察】  本研究はわれわれの知りうる限り、EMA を用いて MCS 患者の化学物質の暴露のあ る日常生活中での症状について明らかにした初めての研究である。

MCS 患者では身 体症状と感情状態が症状出現時に有意に悪化したが、一方で身体症状、感情状態とも に MCS 患者群の無症状時とコントロール群とでは有意差を認めた項目はなかった。

 これらのことから低濃度の複数の化学物質の暴露によって、複数の臓器に症状が生じ、 化学物質が除去されることによって改善するという、この症候群の定義を支持する結 果となった。

EMA は MCS の急性症状を評価するのには有用であるが、パブロフの条 件付けによる症状を除外することができるのは二重盲検法による暴露試験のみであ るという問題がある。

しかし、心拍変動のスペクトル指数βは昼夜を通して MCS 患 者群で有意に増加していた。

心拍変動におけるβは加齢、うっ血性心不全で増加する ことから、MCS 患者においても自律神経機能障害を来たしていると考えられた。

MCS 患者では睡眠時でもβが上昇していたことから、この変化は条件付けではなく生物学 的な因子によって生じていると考えれた。

今後、本研究で用いた EMA と AS-PS 法と ともに二重盲検法による暴露試験も行い、これらの手法の精度も評価していきたい。

【結論】  MCS 患者群は、化学物質に暴露されたときには多彩な身体症状と精神症状を呈す るが、化学物質への暴露がない状況では自覚的には健常者と変わりがないことが示さ れた。

その一方で、MCS 患者群の自律神経機能は昼間も夜間も健常者とは異なるこ とが示唆された。