106;科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂版) | 化学物質過敏症 runのブログ

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・10.1.5. VOC などの測定結果をどう取り扱うか
すでに書いたように、症状が発生する建物や室内のアルデヒド類や VOC の濃度を測定することができれば、現れたシックハウス症候群の症状の原因を考えるうえで有力な手掛かりが得られます。

また、ダニやカビなどの生物学的な環境についても、例えば室内空気中に浮遊するカビの胞子の測定、カーペットの単位面積あたりのダニアレルゲンの数の測定などにより、定量的な評価が可能です。

法的な手続きを行う場合にはこのような測定も行わなければならない場面も出て来るでしょう。

しかし、こうした定量的な評価をするには十万円単位の費用がかかり、簡単にできるものではありません。

測定を行わなくても、現場の状況、これまでに挙げた様々なシックハウス症候群発症要因の有無を検討し、原因とし第 10 章 症状の出た住宅や職場などへの支援(相談への対応) 10.1. 相談を受ける際に注意することて考えられるものについてはおおよその見当がつけられれば、解決に向けての対策もある程度はっきりしてくるのではないでしょうか。
また、たとえば室内の VOC などを測定し、ある物質の濃度が厚生労働省が設定する室内濃度指針値を超えていた場合はその物質が原因として有力ではありますが、原因とは限らないこともあります。

その室内の特徴、化学物質の使用状況など総合的に判断する必要があります。

指針値は室内空気環境評価の目安として使うことはできますが、測定値がこの値を超えたからと言ってシックハウス症候群が発症するとは限りません。

一方、指針値より低くても発症する場合もあります。

また、ある物質が指針値を超えていたとしてもその物質単独で症状を起こしているとは言い切れません。

個別の物質に対する指針値の他に、室内空気質の暫定目標値として設定されている総揮発性有機化合物(Total Volatile OrganicCompounds: TVOC)というものがあり、400μg/m3という値が設定されています。

これは住宅竣工後居住を開始してある程度時間が経過した状態における目安ですが、これを超える結果が出た場合はその室内の換気の状態が良くないことは明らかですので、まずは対策として換気の改善を行うことが必要になります。

原因をはっきりとは特定できなくても換気をよくすることで、症状が良くなれば、相談の目的は達成できたといえます。
10.2. 相談チェックシート