51;科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂版) | 化学物質過敏症 runのブログ

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4) 生活環境で体内に有害物質が吸収された量を知りたい場合の(生物学的モニタリング)デザイン 

生物学的モニタリング検査は労働衛生の分野で活用されています。

生体試料中の有害物質の 濃度からばく露濃度や症状との関連を求めています。

検査材料としては血液、尿、髪の毛、呼 気、その他が用いられます。

検査材料の採集は一般に医師など医療従事者によって行われます。 

検査材料の中で被験者への負担がなくよく利用されているのは尿で、これを用いた活用が期待 されます。

しかし、この尿を用いた検査のルールは決められていません。 

尿を用いた研究例を紹介します。

シックハウスとして問題になっている可塑剤、難燃剤に含 まれるフタル酸エステル、リン酸トリエステル類はばく露によって体内に入り、血液や体内で モノフタル酸エステル類、リン酸ジエステル類に代謝され尿中に排泄されます。

排泄された代 謝物濃度と人の健康状態との関係を比較することによって生体への影響が明らかになります。 

この研究によってフタル酸エステル類、リン酸トリエステル類は人への影響が明らかになりま した。用いられた尿は朝のスポット尿を-20°Cで保存し、使用しています。 

シックハウスで比較的高濃度のばく露を受ける防虫剤のパラジクロロベンゼンは室内でば く露を受け体内から排泄されることが報告されています。 

(5) ある程度の⻑時間のばく露(数か月~数日)を知る方法として住居のダストを用いる場合のデザイン 

住居のダストは一般にほこりと言われ、その中には土・砂、綿ほこり、繊維くず、人の毛髪・ フケ、食べかす、ペットの抜け毛、花粉、昆虫の死骸やフン、カビ、細菌、ダニの死骸やフン、 タバコの煙や排気ガスなど様々な物質が含まれています。

ほこりは空気中の化学物質を吸着して います。

このほこりは風邪や人、物の動きによって空気中に舞い上がります。

舞い上がったほこ りは呼吸により吸収され生体への影響が問題となります。

また室内のほこりは長時間存在(数日 から数か月)することから恒常的なばく露を受ける事になります。

シックハウスに関連する物質 としては難燃剤、可塑剤としてのフタル酸エステルやリン酸トリエステルおよび農薬(WHO の分 類では SVOC に属する化学物質)は、このほこりと共に室内に存在します。 

この室内のほこり(ハウスダスト)中のフタル酸エステル類のばく露によるアレルギー症状へ の影響が報告されています。 

ダストの採集方法はハンディクリーナーを用いて居間の床全面や 床より上の棚や家具の表面のハウスダストを採取します。

分析に不要な毛髪や紙屑、食べ物屑な どをその場でピンセットを用いて取り除き、あらかじめアセトンでフタル酸エステルの汚染を除 去された共栓付きガラス試験管に入れ、フッ素テープで口を塞ぎ、アルミホイルで包み、分析ま で‐20°Cの冷凍庫で保管します。 

b. 分析(評価0) (1) ホルムアルデヒド 

ホルムアルデヒドの分析方法はシックハウス(室内空気汚染)問題に関する検討会中間報告 書 第 1 回/第 3 回のまとめで詳細に説明されています(巻末の引用参照文献第 5 章参考ウェブ 一覧 2)参照)。この方法はシリカゲルに DNPH(2,4-ジニトロフエニルヒドラジン)をコーティン グした捕集剤を空気が通過するとホルムアルデヒドは DNPH へと誘導化されます。

この誘導化 された物質をアセトニトリルで抽出し、分析機器として高速液体クロマトを用いて測定します。 

他のアルデヒド類も同じ方法で測定されます。

表 5.1.7.には有機化合物の捕集、抽出、分析機 器、採取条件を示します。