33;科学的根拠に基づくシックハウス症候群に関する相談マニュアル(改訂版) | 化学物質過敏症 runのブログ

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第II部 室内環境による健康影響 

第 4 章 室内環境に関わる規制 

第4章 室内環境に関わる規制 4.1. 日本における室内環境規制 

日本では、第二次世界大戦後、社会経済の発展、人口の都市への集中、建築技術の進歩等に伴っ て、都市部を中心に大規模な建築物が多数建設されました。

生活や活動の場である建築物は、健康 で衛生的な環境が確保されなければなりません。

1950 年代以降、不適切な建築物の維持管理に起因 する健康影響の事例がいくつも報告されました。

そのため 1970 年(昭和 45 年)に「建築物における 衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)」が制定されました。 

この法律では、法令で定められた特定建築物における空気環境管理基準などの維持管理基準が定 められています。

住宅は、個人が管理可能との考えに基づき、特定建築物の対象外となっています。 

一方、化学産業や建築技術の発達、また省エネや耐震などの要求に伴い、住宅には多種多様の建材 や建築工法が使用されるようになり、個人で住宅を管理することが困難となってきました。このよ うな社会状況の変化により、いわゆるシックハウス症候群など、住居衛生に関わる問題が 1990 年代 に大きくなりました。 

このような状況を踏まえて、1997 年以降、住宅におけるホルムアルデヒドと揮発性有機化合物の 室内濃度に関する全国規模の調査が実施されました。

そして、一部の住宅では室内空気汚染が高い レベルにあることが明らかになり、厚生労働省はホルムアルデヒドを含む 13 の化学物質に対して室 内濃度指針値を策定しました。 

室内濃度指針値は、生産的な生活に必須な特殊な発生源がない限り、住居(戸建、集合住宅)、 オフィスビル(事務所、販売店など)、病院・医療機関、学校・教育機関、幼稚園・保育園、養護 施設、高齢者ケア施設、宿泊・保養施設、体育施設、図書館、飲食店、劇場・映画館、公衆浴場、 役所、地下街、車両など、あらゆる室内空間に適用されます。

そしてその後、室内濃度指針値の策 定を踏まえて、建築物衛生法と学校環境衛生の基準が改正されました。

これらは室内空気中の化学 物質濃度の基準とその維持管理方法を規定しています。

そして、住まい作りに関する法規として、 建築基準法が改正され、住宅の品質確保の促進等に関する法律(住宅品質確保促進法)ではシック ハウス対策が取り入れられました。

つまり、室内空気質と住まい作りの双方の面からシックハウス 対策に関する規制が導入されました。

そしてさらに、地域保健法に基づく「地域保健対策の推進に 関する基本的な指針」にシックハウス対策が取り入れられ、行政のシックハウス対策に対する具体 的な役割が規定されました。